○甲賀市議会基本条例
平成25年9月17日
条例第33号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 市民と議会の関係(第7条)
第3章 議会及び議員と市長等との関係(第8条―第11条)
第4章 討論の拡大(第12条)
第5章 委員会の活動(第13条)
第6章 政務活動費(第14条)
第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第15条―第18条)
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第19条―第21条)
第9章 最高規範性と見直し手続(第22条―第24条)
第10章 補則(第25条)
付則
議会は、市民から直接選挙で選ばれた議員による市の意思決定機関であり、市民の意思を代弁する責務と、行政事務執行に対する監視機能及び立法機能の責務を負っている。地方分権の進展とともに自治体の自主的な決定と責任範囲の拡大により、市民の代表機関として議会の果たす役割はますます大きくなっている。
議会と市長は、ともに市民の負託を受け、対等な関係の二元代表制のもとに一定の均衡を保ち、市民福祉の向上と市勢発展のため不断の努力を続けるものである。
議員及び議会活動は、公正性と透明性を確保し、積極的な情報公開や、市民の政策活動への多様な参加を推進し、市長等の執行機関との緊張感を保ちながら議員間での自由討議を踏まえて、議員の資質を向上することにより、市民に信頼され、存在感のある議会を目指すものである。
甲賀市議会は、市民憲章に掲げる「みんながつくる住みよさと活気あふれる甲賀市」を実現するため、議会の最高規範として、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会運営及び議員に関する基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく市民の負託に的確に応え、市民が安全で安心して生活できる豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。
(1) 市民 市内に住所を有する人、市内で働く人、市内で学ぶ人並びに市内で活動する人、団体及び事業者をいう。
(2) 市長等 市長及び市の執行機関をいう。
(議会の活動原則)
第3条 議会は、市民に開かれた議会を目指し、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 公正性、透明性及び信頼性を確保し、市長等の市政運営状況を監視する。
(2) 市民の多様な意見を的確に把握し、政策提案等市政に反映させるための議会運営に努める。
(3) 市民に対して積極的に情報公開に取り組む。
(4) 市民に対して議会の議決又は運営についてその経緯、理由等を説明する責任を果たす。
(5) 市民の多様な参加を保障するような議会運営に努める。
(災害時の議会対応)
第4条 議会は、災害時においても、議会機能を的確に維持しなければならない。
2 災害時の議会の行動基準等に関しては、甲賀市議会業務継続計画(議会が災害時においても議会としての権能を果たすために必要な事項を定めた計画をいう。)で定める。
(議員の活動原則)
第5条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行わなければならない。
(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員間の自由な討議を保障する。
(2) 市政全般についての課題及び市民の意見、要望等を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんに努め、市民の代表としてふさわしい活動をする。
(3) 議会の構成員として、一部の団体及び地域の代表に留まらず、市民全体の福祉の向上を目指して活動する。
(会派)
第6条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。
2 会派は、政策を中心とした同一理念をもつ議員により構成し、活動する。
3 会派は、政策立案及び政策提案に関し、必要に応じて会派間での調整を行い、合意形成に努めるものとする。
第2章 市民と議会の関係
(市民参加及び市民との連携)
第7条 議会は、市民に対し議会の活動に関する情報を積極的に公開し、透明性を高め、説明責任を果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、常任委員会及び特別委員会の公開を原則とし、市民が議会の活動に参加できるような懇談会、議会報告会等を開催するよう努めるものとする。
3 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)における参考人制度及び公聴会制度を活用して、市民の専門的又は政策的見識等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情書又はこれに類するもので、その内容が請願に適合するものを市民による政策提案と位置づけるとともに、その審議において必要があると認める場合は、これら提出者等の意見を聴く機会を設けなければならない。
5 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議会及び議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
第3章 議会及び議員と市長等との関係
(議員と市長等との関係)
第8条 議会審議において、二元代表制のもと、議員と市長等は、緊張感の保持に努めなければならない。
2 議会における議員と市長等の質疑応答は、論点及び争点を明確にし、市民に分かりやすい方法で行うものとする。
3 市長等は、本会議又は委員会における議員の質疑又は質問の趣旨を確認するため、議長又は委員長の許可を得て発言をすることができる。
(議会審議における論点情報の形成)
第9条 議会は、市長が提案する計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)について、次に掲げる事項の説明を求め、議会審議における論点情報を整理し、政策等の水準を高めるものとする。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 市民参加の実施の有無及びその内容
(4) 総合計画との整合性
(5) 他の自治体の類似する政策等との比較検討
(6) 財源措置
(7) 将来にわたる効果及び費用
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たって、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(予算及び決算審議における説明資料)
第10条 議会は、予算及び決算を審議するに当たって、前条の規定に準じて、市長に対し施策別又は事業別の分かりやすい説明資料の作成を求め、市長はこれに応えるよう努めるものとする。
(地方自治法第96条第2項の議決事件)
第11条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件は、次に掲げるとおりとし、市政全般にわたり重要な計画等について、議会と市長等がともに市民に対する責任を担いながら、計画的かつ市民の視点に立った透明性の高い市政の運営に資するものとする。
(1) 総合的かつ計画的な行政の運営を図るために定める基本構想及びこれに基づく基本計画に関すること
(2) 前号に掲げるもののほか、次に掲げるもの
ア 甲賀市国土利用計画
イ 甲賀市行政改革大綱
(3) 前2号に掲げるもののほか、行政運営上特に重要な計画に関することで議長が必要と認めるもの
第4章 討論の拡大
(討論による合意形成)
第12条 議会は、議員による討論の場であることを認識し、議員相互間の討議を中心とした運営に努めるものとする。
2 議会は、本会議及び委員会において、提出議案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間において十分な討論、議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
3 議員は、よりよい政策を実現するために、条例、意見書等の議案を積極的に提出し、議員相互間の討議の拡大に努めるものとする。
第5章 委員会の活動
(委員会の適切な運営)
第13条 議会は、新たに生じる行政課題等に迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性と特性を活かし適切な運営に努めなければならない。
2 常任委員会を代表する議員は、本会議において議長の許可を得て所管事務に関する質問をすることができる。
3 委員会は、市民からの要請に応じ、審査の経過等を説明するとともに、議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する機会を設けるよう努めるものとする。
第6章 政務活動費
(政務活動費の執行、報告)
第14条 会派又は議員は、政策立案、提案、又は監視を行うための調査及び研究その他の活動に資するため交付される政務活動費を、別に定める甲賀市議会政務活動費の交付に関する条例(平成18年甲賀市条例第11号)に基づき適正に執行しなければならない。
2 政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、公正性、透明性等の観点に加え、その支出根拠が議会の議決事項である予算に依拠することから、議長に対して領収書等を添付した報告書を提出するとともに、1年に1回以上、政務活動費による活動状況を市民に報告しなければならない。
第7章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第15条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
(議会事務局の体制整備)
第16条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
(議会図書室の設置、公開)
第17条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会図書室(以下「図書室」という。)を設置し、図書の充実に努めるものとする。
2 図書室は、議員のみならず、市民の誰もがこれを利用できるものとする。
(議会広報の充実)
第18条 議会は、市政に係る重要な情報を議会独自の視点から、常に市民に対して公表するものとする。
2 議会は、情報技術の発展を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第19条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。
(議員定数)
第20条 議員定数は、甲賀市議会議員定数条例(平成21年甲賀市条例第49号)で定める。
2 議会は、議員定数の改正に当たって、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意向を把握し、本市の実情にあった定数を検討するものとする。
(議員報酬)
第21条 議員報酬は、甲賀市議会の議員の議員報酬等に関する条例(平成16年甲賀市条例第32号)で定める。
2 議会は、議員報酬の改正に当たって、議員が提案する場合は、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、市民の意向を把握し、本市の実情にあった議員報酬を検討するものとする。
第9章 最高規範性と見直し手続
(最高規範性)
第22条 この条例は、議会における最高規範である。
2 議会は、この条例の趣旨に反する議会に関係する条例、議会規則、議会告示等(以下「議会関係条例等」という。)を制定しないよう努めるものとする。
3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例に関する研修を行わなければならない。
(議会及び議員の責務)
第23条 議会及び議員は、この条例の理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される議会関係条例等を遵守して議会を運営し、もって市民を代表する合議制の機関として、市民に対する責任を果たさなければならない。
(条例の検証及び見直し手続)
第24条 議会は、必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを検証するものとする。
2 議会は、前項の検証の結果、この条例を含め議会関係条例等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講じるものとする。
第10章 補則
(委任)
第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議会が定める。
付則
この条例は、公布の日から施行する。
付則(令和2年条例第34号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第10条第2号の改正規定及び同号を同条第3号とし、同条第1号の次に1号を加える改正規定は、令和3年4月1日から施行する。
(甲賀市議会議員政治倫理条例の一部改正)
2 甲賀市議会議員政治倫理条例(平成30年甲賀市条例第44号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略