○甲賀市鉄道安全管理規程
平成25年4月1日
訓令第5号
目次
第1編 総則
第1章 目的等(第1条)
第2章 輸送の安全を確保するための基本的な方針等(第2条)
第3章 輸送の安全を確保するための事業の実施及び管理の体制及び方法
第1節 輸送の安全の確保に関する組織体制(第3条・第4条)
第2節 安全統括管理者等の責務(第5条―第7条)
第3節 輸送の安全の確保に関する事業の実施及び管理の方法(第8条―第14条)
第2編 輸送業務の実施に係る施設管理の方法(第15条―第18条)
付則
第1編 総則
第1章 目的等
(目的等)
第1条 この訓令は、鉄道事業法(昭和61年法律第92号。以下「法」という。)第18条の3第2項の規定に基づき、輸送の安全を確保するために遵守すべき事業の運営の方針、事業の実施並びに管理の体制及び方法を定めることにより、安全管理体制を確立し、輸送の安全の水準の維持及び向上を図ることを目的とする。
2 法及びその他輸送の安全確保に関する法令等の規定に基づき、輸送の安全の確保については、鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号)第3条の規定に基づく実施基準(以下「実施基準」という。)及びこれに関連する規程のほか、本規程に定めるところによる。
第2章 輸送の安全を確保するための基本的な方針等
(安全に関する基本的な方針)
第2条 市長以下関係職員は、安全第一の意識をもって事業活動を行える体制の整備に努めるとともに、鉄道施設及び職員を総合活用して輸送の安全を確保するための管理の方針その他事業活動に関する基本的な方針を具体的に定めるものとする。
2 職員等の安全に係る行動規範は、次のとおりとする。
(1) 一致協力して輸送の安全の確保に努める。
(2) 輸送の安全に関する法令及び関連する規程(この訓令を含む。以下「法令等」という。)をよく理解するとともにこれを遵守し、厳正、忠実に職務を遂行する。
(3) 常に輸送の安全に関する状況を理解するよう努める。
(4) 職務の実施に当たり、推測に頼らず確認の励行に努め、疑義のあるときは最も安全と思われる取扱いをする。
(5) 事故、災害等が発生したときは、人命救助を最優先に行動し、すみやかに安全適切な処置をとる。
(6) 情報は漏れなく迅速かつ正確に伝え、透明性を確保する。
(7) 常に問題意識を持ち、必要な変革に果敢に挑戦する。
3 第1項の方針に基づき策定した鉄道施設、職員等に係る安全性向上のための施策は、適宜見直すものとし、当該施策及びこれに基づく取組の実績その他安全に関する情報については、毎年度、これをとりまとめ安全報告書として公表する。
第3章 輸送の安全を確保するための事業の実施及び管理の体制及び方法
第1節 輸送の安全の確保に関する組織体制
(市長の責務等)
第3条 市長は、輸送の安全の確保に関する最終的な責任を負う。
2 市長以下関係職員は、輸送の安全を確保するための鉄道事業の実施及び管理の体制を整備するとともに、鉄道事業の実施及び管理の方法を定めるものとする。
3 市長以下関係職員は、鉄道事業の遂行に際し、設備、予算その他の必要な計画の策定に際し、次条第1項に掲げる者その他必要な責任者に対し、安全性及び実現可能性の観点からの検証を行わせるものとする。
4 市長以下関係職員は、輸送の安全を確保するための鉄道事業の実施及び管理の状況を把握し、必要な改善を行うものとする。
6 市長以下関係職員は、事故、事故のおそれのある事態、災害その他輸送の安全確保に支障を及ぼすおそれのある事態(以下「事故、災害等」という。)の規模や内容等に応じ、事故対策本部の設置や責任者、対応方法その他必要な事項を定め、事故、災害等発生時に適正かつ迅速に指揮命令を行えるよう関係職員に周知及び徹底しなければならない。
(組織体制)
第4条 当市の鉄道事業における安全の確保に関する体制は、別図のとおりとし、各々の責任者の役割及び権限は、次に掲げるとおりとする。
(1) 安全統括管理者 輸送の安全の確保に関する業務を統括する。
(2) 施設管理者 安全統括管理者の指揮の下、鉄道施設に関する事項を統括する。
(3) 建設部長 公共交通推進課を含む建設部の事務を掌理し、安全統括管理者及び施設管理者と連携し、鉄道輸送の安全の確保に必要な予算・要員の措置等を行う。
2 市長は、前項の責任者の選任、解任等について関係職員に周知することにより、輸送の安全の確保に関する責任体制を明確にするものとする。
3 第1項の安全統括管理者、施設管理者は、輸送の安全の確保に関し、運転や施設、車両の計画に必要な基礎的情報その他の必要な情報に係る相互の連絡を緊密にし、打ち合わせを正確に行うことにより、各々の業務を適切に遂行し、管理しなければならない。
4 当市の鉄道事業に係る事業については、安全統括管理者を座長とし、施設管理者その他関係者による合議にて決定することとする。その際、議題の内容に応じ、甲賀市担当職員及び信楽高原鐵道株式会社の施設保守等担当者をオブザーバーとして適宜出席させることができる。
第2節 安全統括管理者等の責務
(安全統括管理者の選任及び解任)
第5条 安全統括管理者は、法及び鉄道事業法施行規則(昭和62年運輸省令第6号)で定める要件を満たす者のうち、安全に関して十分な知識及び経験を有する者の中から市長が選任する。
2 市長は、安全統括管理者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該管理者を解任する。
(1) 人事異動等により安全統括管理者の要件を満足しなくなったとき。
(2) 国土交通大臣の解任命令が出されたとき。
(3) 身体の故障その他やむを得ない事由により職務を引き続き行うことが困難になったとき。
(4) 関係法令等に違反する等により、安全統括管理者がその職務を引き続き行うことが輸送の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき。
(安全統括管理者の責務)
第6条 安全統括管理者は、輸送の安全の確保に関し、次に掲げる責務を有する。
(1) 鉄道施設の安全性及び信楽高原鐵道株式会社の業務との整合性を確保するとともに、安全確保を最優先しながら関係部署を統括管理すること。
(2) 関係職員に対し、本規程の周知を行い、関係法令等の遵守と安全第一の意識を徹底させること。
(3) 輸送業務の実施、管理の状況及び安全性向上のための施策の実施状況並びに近代化補助の整備計画等の実施状況について、随時、確認を行い、必要な改善の措置を講じること。
(4) 輸送の安全の確保に関する事業運営上の重要な決定に参画し、市長又は関係職員に対し、輸送の安全の確保に関し、その職務を行う上での必要な意見を述べること。
(5) 輸送の安全の確保に関し、事故、災害等その他必要な情報を収集し、施設管理者及びその他必要な責任者にこれを周知し、又は必要な指示を行うこと。
(6) 第4条第4項の規定による合議にて決定された事項について、関係部課及び信楽高原鐵道株式会社その他関係機関に対し意見具申を行うこと。
(施設管理者の責務)
第7条 施設管理者は、輸送の安全確保に支障を及ぼす恐れのないよう施設を維持管理するため、次に掲げる業務を管理する責務を有する。
(1) 鉄道施設の新設、改良及び保守(以下「工事等」という。)に係る管理体制並びに甲賀市線路構造実施基準、甲賀市運転保安設備実施基準、甲賀市電気設備実施基準等に基づく工事等の計画の作成、変更に関する事項
(2) 施設並びに車両の構造、仕様及び運転取扱いに係るそれぞれの整合性の確保に関する事項
(3) 施設の保守に係る作業を行う場合の安全確保に関する事項
(4) 列車の運転の安全に直接影響を与える施設の状態、線路の保全に影響のある気象情報など、運転管理のために必要となる情報の伝達に関する事項
(5) 工事、検査及び保守作業に係る要員の資質の維持及び管理に関する事項
(6) 前各号の規定に係る市予算及び市人事に関する事項
2 施設管理者には、公共交通推進課長を充てる。
3 施設管理者が事故等によりその職務を遂行することができないと認められるときは、当該施設管理者の次席に相当する者が臨時にその職務を代行するものとする。
4 施設管理者は、鉄道施設の工事等の計画その他の必要な計画の検討に当たり、施設関係の職員、設備の状況その他の事項を総合的に勘案し、安全性及び実現可能性の検証を行うものとする。
5 施設管理者は、施設関係の係員並びに委託及び請負業者に対する教育及び訓練を適切に管理するものとする。
6 施設管理者は、輸送の安全の確保に関し、安全統括管理者及びその他関係者との連絡、調整を密に行い、必要な情報を共有するものとする。
7 施設管理者は、輸送の安全の確保に関し、必要な情報を安全統括管理者及び建設部長その他必要な責任者に伝達し、又は必要な情報を受けるものとする。
第3節 輸送の安全の確保に関する事業の実施及び管理の方法
(業務報告)
第8条 安全統括管理者は、輸送の安全の確保に関する業務を統括管理するため、信楽高原鐵道株式会社が実施する業務において発生した不安全行動など安全を損なう事態が発生した場合に、施設管理者及びその他の責任者が、輸送の安全確保の実施に関し随時報告すべき事項等を定めるものとする。
2 関係職員は、輸送の安全の確保に関し、相互に必要な情報を伝達しなければならない。
3 第1項の報告内容については、法令違反、重大な怠慢又は故意による行為を除き、関係職員の処罰には使用しない。
(事故、災害等の防止対策の検討)
第9条 安全統括管理者は、事故、災害、事故のおそれがある事態、その他輸送の安全確保に資する情報を分析及び整理し、第4条第4項の規定による合議での決定により、必要に応じこれらの防止対策を講じるものとする。
2 安全統括管理者は、前項の検討を通じて、不安全事象の再発防止又は安全意識の向上の観点から輸送業務に携わる者に知らしめることが重要である事項については、施設管理者及び関係職員が共有できるようにしなければならない。
(事故、災害等の報告及び対応)
第10条 関係職員は、事故、災害等に対する責任者、対応方法その他必要な事項をよく理解し、事故、災害等が発生した場合は、必要な対応を取らなければならない。
2 施設管理者及びその他関係する責任者は、必要に応じ、あらかじめ定めた責任者の権限を超越して適切かつ柔軟な対応を行わなければならない。
3 事故、災害等の発生を知った者は、あらかじめ定められた方法により、速やかにその情報を報告しなければならない。
4 市長は、法令等の定めにより、関係行政機関に速やかに報告しなければならない。
(業務の確認)
第11条 安全統括管理者及び施設管理者は、適宜現場に赴き輸送に係る業務の実施及び管理の状況を確認するとともに、潜在する危険要因を抽出し、その内容を検証するとともに業務改善が必要な事項について的確な措置を講ずるものとする。
(安全管理体制の維持のための教育訓練)
第12条 安全統括管理者は、安全管理体制の維持及び改善に必要な教育訓練を適宜実施するものとする。
(安全管理規程等の整備)
第13条 安全統括管理者、施設管理者その他の責任者は、輸送の安全を確保するため、本規程及び実施基準のほか、鉄道施設の維持及び管理に関して必要となる規程を定めるものとする。
(規程、帳票類等の備付け及び記録の管理等)
第14条 安全統括管理者、施設管理者その他の責任者は、本規程、その他の輸送の安全の確保に関する規程、鉄道施設に係る帳票類その他の必要な資料等は、必要な部門に備え、適切に保管するものとする。
2 安全統括管理者の意見及び輸送の安全の確保に関する事業運営上の方針の作成に当たっては、第4条第4項の規定による合議により決定し、議事録その他の必要な資料等は、適切に保管するものとする。
3 前2項に掲げるほか、輸送の安全の確保に関する規程、帳票類その他の資料の管理、記録及び保管の方法については、甲賀市文書取扱規程(平成16年甲賀市訓令第5号)に基づき管理するものとする。
第2編 輸送業務の実施に係る施設管理の方法
(鉄道施設の管理の体制)
第15条 鉄道施設の管理に対する体制は、別図のとおりとする。
2 施設管理者は、鉄道施設の新設又は改良に当たり、安全性及び信頼性の向上並びに車両及び将来の運行計画との整合性等を勘案し、整備計画を策定して安全統括管理者に報告するものとする。同計画を変更する場合も同様とする。
3 施設管理者は、鉄道施設の新設又は改良の実施及び竣工の検査等に当たっては信楽高原鐵道株式会社との連携を密にし、輸送の安全確保に支障が生じないよう計画するものとする。
4 施設管理者は、信楽高原鐵道株式会社との連携を密にし、鉄道施設の新設、改良、保守及び検査に必要な実施基準等の規程を策定し、必要な部署に備え、適切に管理し、これを関係者に周知徹底するものとする。
5 施設管理者は、信楽高原鐵道株式会社との連携を密にし、工事の施工に当たっては、その都度、工事施工者及び工事仕様書を含む具体的内容を契約するものとする。
6 施設管理者は、信楽高原鐵道株式会社との連携を密にし、鉄道施設の検査計画並びに検査結果のとりまとめに基づき新設、改良、保守及び修繕計画を策定し、逐一安全統括管理者に報告する。変更する場合も同様とするものとする。
7 施設管理者は、信楽高原鐵道株式会社との連携を密にし、実施基準等にあらかじめ定めた周期に基づき検査を確実に実施し、その結果に基づき列車を安全に運転できる状態に保持するものとする。
(工事、保守等を行う場合の安全確保事項)
第16条 施設管理者は、工事等を行うに際しては、信楽高原鐵道株式会社との連携を密にし、計画段階から列車の運行の安全確保及び触車事故防止の観点に立ち、内容について確認するものとする。
2 工事等に携わる係員(請負業者を含む。ただし、信楽高原鐵道株式会社職員は除く。以下「工事等係員」という。)は、工事等の施工段階において、作業内容等に応じ関係者と作業内容、作業方法、作業手順等について十分打合せを行うものとする。
3 工事等係員は、作業着手前、作業中及び作業終了後において、列車の運行状況の把握、軌道変状等の不具合事象の発生時の対応及び作業後の安全確認を確実に実施し、必要に応じ施設管理者に連絡するものとする。
4 施設管理者は、線路を閉鎖し、又は保守作業において工事等を行う場合は、信楽高原鐵道株式会社との連携を密にし、線路閉鎖工事及び保守用車使用要領等にその手続に関する事項を定め、これを周知徹底するものとする。
5 工事等係員は、線路を閉鎖し、又は保守作業において工事等を行う場合は、信楽高原鐵道株式会社の安全統括管理者及びその他の責任者と緊密な連携を維持し、必要な確認及び報告を行うものとする。
6 施設管理者は、信楽高原鐵道株式会社との連携を密にし、工事等係員に対し、工事等に伴う列車の安全確保のため、列車の運行状況等の必要な情報を提供するものとする。
7 施設管理者は、工事等係員に対し、他の事業者や他の現場において発生した事故等に係る情報の入手に努め、周知を図るものとする。
8 施設管理者は、列車運行に支障を及ぼすおそれのある時は、信楽高原鐵道株式会社の安全統括管理者及びその他の責任者に対し、速やかに連絡するものとする。
(施設関係係員の資質管理)
第17条 施設管理者は、工事等係員の適性、知識及び技能の確認及び維持が図られるよう適切な措置を講ずるものとする。
2 施設管理者は、施設の保守に係る工事等係員の資質の充足状況について、継続的かつ定期的に確認するものとする。
3 施設管理者は、施設の保守に係る工事等係員の資質の状況を記録し、その推移を確認できるように管理するものとする。
(鉄道施設の保守作業に関する業務の委託)
第18条 施設管理者は、施設の保守作業に関係する業務を委託する場合にあっては、委託業務の種類、範囲及び作業に必要な情報の管理(異常時における連絡通報体制を含む。)並びに受託者の業務管理体制及び教育訓練体制について、委託契約書に定め、これと第2条第2項に規定する法令等に基づき適切に業務を行わせるものとする。
2 施設管理者は、前項の規定により当該業務の委託を受けた者(以下「受託者」という。)に必要な責任者を配置させ、適切に業務を行わせるものとする。
3 施設管理者は、受託者の責任者との間における指示、報告、手順等を明確に定め、業務を遂行させるものとする。
4 施設管理者は、受託者の行う業務について、責任者を通じ、適時、業務に必要な情報の伝達を行うとともに、必要に応じ指導するものとする。
5 施設管理者は、受託者の責任者に対し、業務を行う工事係員を前条(施設関係係員の資質管理)に準じて、作業を行うのに必要な知識及び技能を保有するよう教育、訓練及び適性検査を実施させ、遅滞なくその結果を報告させ、その内容を確認するものとする。
6 施設管理者は、業務の実施により事故等が発生したとき及び異常を認めた際には、受託者の責任者より、速やかに報告させ、必要な指示を行うものとする。
7 施設管理者は、受託者の行う業務について検査を実施し、列車の運行に支障を及ぼすおそれがある場合等必要に応じ、改善の指示を行うものとする。
付則
この訓令は、平成25年4月1日から施行する。
付則(平成29年訓令第10号)
この訓令は、平成29年4月1日から施行する。
付則(平成30年訓令第16号)
この訓令は、平成30年7月1日から施行する。
付則(令和5年訓令第6号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。
付則(令和5年訓令第15号)
この訓令は、令和5年6月1日から施行する。
別図(第4条、第15条関係)