○甲賀市線路構造実施基準

平成25年4月1日

訓令第6号

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 係員(第8条・第9条)

第3章 線路

第1節 軌間(第10条)

第2節 線路線形(第11条―第19条)

第3節 建築限界(第20条)

第4節 施工基面の幅及び軌道中心間隔(第21条・第22条)

第5節 線路構造(第23条―第25条)

第6節 建築物(第26条)

第7節 安全設備(第27条・第28条)

第8節 車止め及び安全側線(第29条―第31条)

第9節 線路内への立入防止(第32条)

第10節 避難用設備等(第33条)

第11節 ガードレール類(第34条―第37条)

第12節 線路標(第38条)

第4章 停車場

第1節 停車場(第39条―第42条)

第2節 車庫等(第43条)

第5章 道路との交差(第44条・第45条)

第6章 施設の保全(第46条―第55条)

第7章 軌道及び材料の補修基準(第56条―第75条)

付則

第1章 総則

(目的)

第1条 この実施基準は、普通鉄道の軌道を建設、改良及び整備する場合の機能並びに線路の機能を正常な状態に保ち、安全、正確及び迅速な輸送完遂に寄与することを目的とする。

(適用の範囲)

第2条 普通鉄道の軌道の建設、改良及び整備並びに軌道及び線路の保全については、省令及び別に定めるものによるほか、この実施基準に定めるところによる。

2 別に定めるものの主なものは、次の表のとおりである。

規程名

関係事項

甲賀市運転保安設備実施基準

(平成25年4月甲賀市)

運転保安設備

甲賀市線電気設備実施基準

(平成25年4月甲賀市)

電気設備

(用語の意義)

第3条 本基準における用語の意義は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 「本線」とは、列車の運転に常用される線路をいう。

(2) 「側線」とは、本線以外の線路をいう。

(3) 「駅」とは、旅客の乗降又は貨物の積卸しを行うために使用される場所をいう。

(4) 「信号場」とは、専ら列車の行き違い、又は待ち合わせを行うために使用される場所をいう。

(5) 「操車場」とは、専ら車両の入替え、又は列車の組成を行うために使用される場所をいう。

(6) 「停車場」とは、駅、信号場及び操車場をいう。

(7) 「車庫」とは、専ら車両の収容を行うために使用される場所をいう。

(8) 「車両」とは、旅客車及び特殊車(事故救援車その他特殊な構造又は設備を有するものをいう。)であって、鉄道事業の用に供するものをいう。

(9) 「列車」とは、停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両をいう。

(10) 「動力車」とは、動力発生装置を有する車両をいう。

(11) 「鉄道信号」とは、信号、合図及び標識をいう。

(12) 「信号」とは、係員に対して、列車又は車両(以下「列車等」という。)を運転するときの条件を現示するものをいう。

(13) 「合図」とは、係員相互間で、その相手方に対して合図者の意思を表示するものをいう。

(14) 「標識」とは、係員に対して、物の位置、方向、条件等を表示するものをいう。

(15) 「線路」とは、軌道、土木建造物等及び運転保安等建造物をいう。

(16) 「軌道」とは、軌道、表層路盤、線路側溝及び諸設備をいう。

(17) 「土木建造物等」とは、線路設備のうち、橋りょう、土工設備、排水設備、防護設備、鉄道林、鉄道林工作物、諸設備及び停車場設備(機器を除く)並びに列車運転に影響を及ぼすおそれのある自然斜面及び部外設備をいう。

(18) 「運転保安等建物」とは、鉄道の線路敷地内の運転保安に関する建築物(信号装置、列車運転用通信装置等に直接関係する建築物等)及びプラットホームの上家その他これらに類する建築物をいう。

(19) 「巡回検査」とは、日常線路を巡回し、線路全般にわたり巡視及び保安監視等を行う検査をいう。

(20) 「線路保守検査」とは、定期的に軌道全般にわたり軌道狂い検査について行う検査をいう。

(21) 「軌道材料検査」とは、軌道材料の損傷、摩耗、腐食等の状態について行う検査をいう。

(22) 「軌間」とは、軌道中心線が直線である区間における、軌条面から14ミリメートル以内の軌条頭部間の最短距離をいう。

(23) 「分岐付帯曲線」とは、分岐内曲線及び分岐器を敷設したため、その前後に生じる曲線をいう。

(24) 「スラック」とは、曲線及び分岐器において、車両の走行を容易にするために軌間を内方に拡大することをいう。

(25) 「カント」とは、車両が遠心力により外方に転倒することを防止するために、外側レールを内側レールより高くすることをいう。

(26) 「水準」とは、左右のレールの高さの差をいう。

(27) 「高低」とは、レール頭頂面の長さ方向の凹凸をいう。

(28) 「通り」とは、レール側面の長さ方向の凹凸をいう。

(29) 「平面性」とは、軌道の一定間隔における水準変化(ねじれ)をいう。

(30) 「定尺レール」とは、標準長さ(50:40:37キログラムレールでは25メートル)のレールをいう。

(31) 「短尺レール」とは、定尺レール(標準レール25メートル)より短いレールをいう。

(32) 「中継レール」とは、異なった断面の2本のレールを接続するため使用されるレールをいう。

(33) 「遊間」とは、レール継目部の前後レール間の隙間をいう。

(34) 「支え継ぎ法」とは、レール継目の真下にマクラギを配置して、継目を支持する方法をいう。

(35) 「架け継ぎ法」とは、レール継目の真下にマクラギを配置せず、相互間隔を隔てた2本のマクラギで、継目を支持する方法をいう。

(36) 「レールの継目落ち」とは、継目付近におけるレール面の落ち込みをいい、バッター、縦ぐせ及び道床の沈下によるむらにより発生した落ち込みを総称する。

(37) 「レールのふく進」とは、レール縦方向の移動現象をいう。

(38) 「無道床橋りょう」とは、橋マクラギを使用した橋りょう、又は橋けた直結軌道をいう。

(39) 「車止め」とは、列車又は車両が過走又は逸送するのを防止するために軌道の終端に設ける設備をいう。

(40) 「車輪止め」とは、停車中の車両が逸走するのを防止するために側線に設ける設備をいう。

(41) 「軌道中心」とは、軌間1,067ミリメートルの中心をいう。

(42) 「設計最高速度」とは、鉄道施設の設計の基礎とする列車の最高速度で、その区分は鉄道事業法施行規則(昭和62年運輸省令法第6号)第5条第1項第2号ニによる。

(43) 「推定脱線係数」とは、線路や車両の諸元数値を用いて計算により脱線係数をいう。

(44) 「限界脱線係数」とは、車輪の形状や曲線半径から理論的に算出した、車輪がレールから浮き上がり始めるときの脱線係数をいう。

(45) 「推定脱線係数比」とは、限界脱線係数と推定脱線係数の比をいう。

(46) 「道床横抵抗力」とは、道床バラストの軌きょうを横移動しょうとするときにマクラギとバラストの間に生じる抵抗力をいう。

(47) 「旅客通路」とは、旅客の乗降のための通路をいう。

(48) 「バックゲージ」とは、クロッシング部鼻端レールとガードレール(フランジウェイ側)との間隔をいい、鼻端レール先端の円弧部と路面との接点で測定する。

(実施基準の取扱い)

第4条 係員は、施設の構造及びその取扱いに際して、この実施基準を遵守しなければならない。

2 実施基準を定め、又は変更しようとする場合は、必要により関係機関と調整を行うこと。

3 施設の性能試験のために運転する列車に対して、別に取扱いを定めたときは、実施基準によらないことができる。

4 災害等のため一時使用する施設の構造については、実施基準によらないことができる。

(危害の防止)

第5条 のり切り、切土、掘削、盛土、くい打ち等の土砂の掘削等を伴う鉄道の工事にあっては、工事中及び存続期間中に土砂崩壊、かん没、排土すべり出し等によって人に危害を及ぼさないように工事を行わなければならない。

(著しい騒音の防止)

第6条 鉄道事業者は、列車の走行に伴い発生する著しい騒音の防止に努めなければならない。

2 新設又は大規模改良に際しては、沿線屋外の地上1.2メートルの高さにおける近接側軌道中心線から水平距離が12.5メートルの地点において、次の各号に掲げる騒音レベルとする。

(1) 新設は、等価騒音レベルとして、昼間(7時以降~22時まで)は60デシベル以下、夜間(22時以降~翌日7時まで)は55デシベル以下とする。

(2) 大規模改良は、騒音レベルの状況を改良前より改善する。

3 前項において、新設とは、鉄道事業法(昭和61年法律92号)第8条の工事の施行認可を受けて工事を施工する区間をいい、大規模改良とは、道路との連続立体交差化又はこれに準じる立体交差化を行うため、鉄道事業法第12条の鉄道施設の変更認可をうけて工事を施工する区間をいう。

4 次の各号に掲げる区間及び場合については、第2項の規定は適用しないものとする。

(1) 住宅を建てることが認められていない地域及び通常住民の生活が考えられない地域

(2) 踏切等防音壁の設置が困難な箇所及び分岐器設置区間

(3) 事故、自然災害、大みそか等通常と異なる運行をする場合

(移動円滑化のために講ずべき措置)

第7条 建造物の整備にあたっては、高齢者、障害者等の移動上、又は施設の利便上の便利性及び安全性の向上のために講ずべき措置については、高齢者、障害者等移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第8条の定めるところによる。

第2章 係員

(運転の安全確保)

第8条 鉄道事業者は、列車等の運転に当たっては、係員の知識及び技能並びに運転関係の設備を総合的に活用して、その安全確保に努めなければならない。

(係員の教育及び訓練等)

第9条 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員並びに施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う係員に対し、作業を行うのに必要な知識及び技能を保有するよう、教育及び訓練を行わなければならない。

2 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員が作業を行うのに必要な適性、知識及び技能を保有していることを確かめた後でなければその作業を行わせてはならない。

3 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員が知識及び技能を十分に発揮できない状態にあると認めるときは、その作業を行わせてはならない。

4 列車等の運転に直接関係する作業を行う係員は、次のとおりとすること。

(1) 列車等を操縦する係員

(2) 列車の運転順序変更、行き違い変更、運転の取消等の運転整理を行う係員

(3) 列車防護、ブレーキの操作又は運転上必要な合図を行うために列車に乗務する係員

(4) 列車等の進路制御、閉そく、鉄道信号の取扱い又は転てつ器の操作をする係員

(5) 線路、電車線路又は運転保安設備の保守、工事等で列車の運転に直接関係があるものを単独で行い、又は指揮監督する作業を行う係員

(6) 踏切保安設備を操作する係員

5 施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う係員は、次のとおりとし、施設及び車両の保守その他これに類する作業を委託する場合にあっては、委託した作業を行う係員以外の係員を含むものとする。

(1) 構造物、線路及び建築物の保全作業を行う係員

(2) 電気設備及び運転保安設備の保全業務を行う係員

(3) 車両の検査及び修繕業務を行う係員

(4) 電気設備の機器開閉操作を直接行う係員

6 第4項の係員に対する適性の確認は、身体機能検査及び精神機能検査により行うこと。

7 第4項の係員に対する教育及び訓練の実施、適性、知識及び技能の確認は、当該係員の所属する係員(係員が所属している事業者が係員以外の場合にあっては、当該作業を委託した協力会社。以下同じ。)が実施要領を定めて行う。ただし、教育及び訓練の実施、適性、知識及び技能の確認の管理を当該係員が行う場合は、他の者にこれを行わせることができる。

8 第5項の係員に対する教育及び訓練は、係員の管理のもとに他の者が行う教育訓練を含むものとする。

第3章 線路

第1節 軌間

(軌間)

第10条 軌間は、車両の構造、設計最高速度等を考慮し、車両の安全な走行及び安定した走行を確保することができるものでなければならない。

2 軌間の基本寸法は、1,067ミリメートルとする。

第2節 線路線形

(線路線形)

第11条 本線の曲線半径(分岐内曲線及びその前後の曲線(以下「分岐付帯曲線」という。)を除く。)及び本線のこう配は、車両の性能等を考慮し、地形上等の理由のためやむを得ない場合を除き、それぞれ当該線区の設計最高速度のおおむね80パーセント以上を達成できるものとすること。

(曲線半径)

第12条 曲線半径は、車両の曲線通過性能、運転速度等を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。

2 プラットホームに沿う本線の曲線半径は、できる限り大きなものとしなければならない。

3 本線における曲線(分岐付帯曲線及びホームに沿う曲線を除く。)の半径は、設計最高速度の区分に応じ、次の表に掲げる大きさ以上でなければならない。

設計最高速度

曲線半径

80キロメートル毎時以下

300メートル

(最小曲線半径)

第13条 第12条の規定にかかわらず、地形上等のためやむを得ない場合の最小曲線半径は、160メートルとする。また、分岐付帯曲線の最小曲線半径は、100メートルとする。

2 前項の規定にかかわらず、地形上等のためやむを得ない場合であって、次式による計算結果が1.2以上又は1.2を下回る当該曲線に脱線防止ガード等を設置した場合は、当該車両の曲線通過性能に応じた曲線半径とすることができる。

推定脱線係数比=限界脱線係数/推定脱線係数

3 前各項にかかわらず、プラットホームに沿う曲線の最小曲線半径は、400メートル以上とする。ただし、プラットホームの端部であって、利用者が少ない場合を除く。

(カント)

第14条 円曲線には、車両が受ける遠心力、風の影響等を考慮し、車両の転覆の危険が生じないよう、軌間、曲線半径、運転速度等に応じたカントを付けなければならない。ただし、分岐付帯曲線、側線その他のカントを付けることが困難な箇所であって運転速度の制限その他の車両の転覆の危険が生じるおそれのない措置を講じた場合は、この限りでない。

2 カントは円曲線のカント量、運転速度、車両の構造等を考慮して、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう、相当の長さにおいて逓減しなければならない。

3 カントは、次の式により計算して得た数値を標準とする。ただし、分岐付帯曲線等の場合であって、運転速度を制限すること等により車両の転覆の危険がないことを確かめた場合にあっては、この限りでない。

C=GV2/127R

この式において、C、G、V、Rはそれぞれの次の数値を表すものとする。

C:カント(単位:ミリメートル)

G:軌間(単位:ミリメートル)

V:当該曲線を走行する列車の平均速度(単位:キロメートル毎時)

R:曲線半径(単位:ミリメートル)

この場合において、カントは次により計算して得た数値以下とする。

C=G2/6H

この式において、Hは次の数値を表すものとする。

H:レール面より車両の重心までの高さ(単位:ミリメートル)

4 カントは次の基準により逓減すること。

(1) 緩和曲線のある場合はその全長とする

(2) 緩和曲線のない場合(同方向の二つの曲線が接続する場合を除く。)は、円曲線端から当該曲線を走行する車両の最大固定距離が2.5メートル以下の時はカント300倍以上、2.5メートルを超える時は400倍以上の長さの直線において逓減する。

(3) 前号の場合において、当該逓減を曲線逓減とする場合のカントの最急こう配は、当該曲線を走行する車両の最大固定距離が2.5メートル以下の時は300分の1、2.5メートルを超える時は400分の1とする。

(4) 同方向の二つの曲線が接続する場合にあって、緩和曲線がない場合は、当該二つの曲線のカント量の差は、その差の数値の400倍以上の長さにおいて、半径の大きい円曲線において逓減する。この場合において、当該逓減を曲線逓減とする場合のカントの最急こう配は400分の1とする。

(スラック)

第15条 円曲線には、曲線半径、車両の固定軸距等を考慮し、軌道への過大な横圧を防止することができるスラックを付けなければならない。ただし、曲線半径が大きい場合は、車両の固定軸距が短い場合その他の軌道への過大な横圧が生じるおそれのない場合は、この限りでない。

2 スラックは、車両の固定軸距を考慮し、車両の安全な走行に支障をおよぼすおそれのないよう相当の長さにおいて逓減しなければならない。

3 スラックは、次の式より計算して得た数値以下とする

(1) 専ら2軸車が走行する区間

Smax=1,000(B2(2R))-η

この式において、Smax、B、R、ηはそれぞれ次の数値を表すものとする。

Smax:スラックの上限値(ミリメートル)

B:当該曲線を走行する車両の最大固定軸距(メートル)

R:曲線半径(メートル)

η:可動余裕値(ミリメートル)

(2) 前号の規定にかかわらず、スラックの最大値は、5ミリメートルとする。

4 一般曲線におけるスラックの設定は、次の表を標準とする。

(単位 ミリメートル)

曲線半径(メートル)

スラック量

R<170

170≦R<200

200≦R<240

240≦R<320

320≦R<440

440≦R<600

2軸車

5

5

5 既存の線路等であって、前項の計算式で求めた数値より大きいスラックを設定している箇所については、改良工事等を行うまでの間は、数値を上限とし保守等を行うものとする。

6 スラックは、次の基準により逓減する。

(1) 緩和曲線のある場合はその全長とする。

(2) 緩和曲線のない場合は、円曲線端から当該曲線を走行する車両の最大固定軸距離以上の長さの区間において逓減する。ただし、分岐器曲線にあっては、この限りでない。

7 スラックの設定は、曲線内方に軌間を拡大して付けるものとする。

(緩和曲線)

第16条 直線と円曲線との間及び二つの円曲線の間には、車両の構造、カント量、運転速度等を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう、緩和曲線を挿入しなければならない。ただし、分岐付帯曲線、カント量が小さい円曲線その他の緩和曲線を挿入することが困難な箇所であって運転速度の制限、脱線を防止するための設備の設置その他の車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのない措置を講じた場合はこの限りでない。

2 緩和曲線の長さは、当該緩和曲線を走行する車両の固定軸距離等に応じ、次の基準に適合するものであること。

(1) 緩和曲線の長さは、次号のとおりとし、列車の運転速度を考慮すること。ただし、分岐付帯曲線、カント量が小さい円曲線等であって、運転速度を制限することにより、車両の走行安全性を確保できることを確かめた場合はこれによらないことができる。

(2) 緩和曲線の長さは、次の式により計算して得た数値以上とする。

 当該曲線を走行する車両の最大固定軸距が2.5メートル超える区間

L=400Cm

 当該曲線を走行する車両の最大固定軸距が2.5メートル以下の区間

L=300Cm

この式において、L、Cmはそれぞれ次の数値を表すものとする。

L:緩和曲線の長さ(単位:メートル)

Cm:実カント(2つの円曲線の間に緩和曲線を挿入する場合は、それぞれの実カントの差。単位:メートル)

 反対方向の円曲線間を1つの緩和曲線で直接接続する場合、又はふく進曲線間に挿入する曲線間の場合は、それぞれの緩和曲線の所要長の和以上の長さとし、ふく進曲線の場合は、それぞれの緩和曲線の所要長の差以上の長さとし、かつ、その逓減倍率は、2つの円曲線のカントの差の400倍以上の長さとする。

(急曲線低速走行時の安全性の確認)

第17条 前条第2項第2号の規定に関わらず、出口側の緩和曲線については、次式による計算結果が、1.2以上又は、1.2を下回るが当該緩和曲線に脱線防止ガード等を設置した場合は、当該車両の曲線通過性能に応じた緩和曲線長とすることができる。

推定脱線係数比=限界脱線係数/推定脱線係数

(こう配)

第18条 こう配は、車両の動力発生装置、ブレーキ装置の性能、運転速度等を考慮し、車両が起動し、所定の速度で連続して運転することができ、かつ、所定の距離で停止できるものでなければならない。

2 列車の停止区域こう配は、車両の動力発生装置、ブレーキ装置の性能等を考慮し、列車の発着に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。

(1) 列車の走行区域における最急こう配は、1,000分の35とする。

(2) 分岐器における最急こう配は、1,000分の5を標準とし、地形上等のためやむを得ない場合は、1,000分の25までとする。

3 列車の停止区域における最急こう配は1,000分の5とする。ただし、車両の留置又は解結をしない区域にあっては、列車の発着に支障を及ぼすおそれがない場合に限り1,000分の10とすることができる。

(縦曲線)

第19条 こう配が変更する箇所には、列車の運転速度、車両の構造等を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう、縦曲線を挿入しなければならない。ただし、こう配の変化が少ない場合、運転速度が低い場合その他の車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのない場合は、この限りでない。

2 本線において、こう配の変化する箇所は、半径2,000メートル(曲線半径600メートル以下の箇所にあっては3,000メートル)以上の縦曲線を挿入しなければならない、ただし、こう配変化が1,000分の10未満の箇所は、挿入しないことができる。

3 緩和曲線内には、縦曲線の挿入を避けるよう努めるものとする。

第3節 建築限界

(建築限界)

第20条 直線における建築限界は、車両の走行に伴って生じる動揺等を考慮して、車両限界との間隔が、車両の走行、旅客及び係員の安全に支障を及ぼすおそれのないよう定めなければならない。

2 曲線における建築限界は、車両の偏いに応じ、建築限界を拡大し、かつ、カントに伴い傾斜させたものでなければならない。

3 曲線中における建築限界は、規定する建築限界の各側を次に掲げる式により拡大し、かつカントに伴い傾斜させるものとする。

W=23.100/R

W:拡大する寸法(メートル)

R:曲線の半径(メートル)

4 建築限界内には、建物その他の建造物等を設けてはならない。

5 拡大する寸法は、円曲線から緩和曲線終端の外方17メートルの点までの間にわたり、逓減するものとする、ただし、緩和曲線のない場合は、円曲線端(複心曲線の場合は半径の小さい円曲線端)から17メートルの長さにおいて、これを逓減するものとする。

6 建築限界内には、列車等以外のものを置いてはならない、ただし、工事等のためやむを得ない場合にあって、運転速度の制限、その他列車等の運転の安全を確保する措置を講じたときはこの限りでない。

7 建築限界外であっても、建築限界内に崩れるおそれのある物を置いてはならない。

8 普通鉄道構造規則(昭和62年運輸省令第14号。以下「旧省令」という。)において、特別な許可を受けたもの又は附則の経過措置により、特別な構造の許可を受けたものとみなされた建築限界を適用する箇所については、保守作業に特段の注意を払うこととする。

9 建築限界の形状は、別表第1別表2及び別表3を標準とする。

第4節 施工基面の幅及び軌道中心間隔

(施工基面の幅)

第21条 直線における施工基面の幅は、軌道の構造に応じて、軌道としての機能を維持することができるものであり、かつ、必要に応じ、係員が列車を避けることができるものでなければならない。

2 盛り土区間及び切り取り区間における施工基面の幅(軌道中心線から外縁間での長さ)は、軌道構造に応じ軌道が受ける荷重を路盤に円滑に伝達し、軌道としての機能を維持できるものとする。また、係員の作業又は待避等行う側については、当該区間の建築限界に0.6メートル以上拡大したものとする。

3 高架橋等その他の構造の区間における施工基面の幅は、2.75メートル以上とする。ただし、軌道構造、待避等を考慮し、支障がない場合は縮小することができる。

4 無道床橋りょうで待避確保が困難な箇所においては、待避所を設ける。この場合において、待避所は50メートル毎に設置するものとする。

5 曲線区間における施工基面の幅は、相当量拡大することとし、拡大量は、次の式によることを標準とする。

y=α×C

y:拡大寸法(単位:ミリメートル)

α:軌間での標準断面係数(標準値3.35)

C:カント量(単位:ミリメートル)

(軌道中心間隔)

第22条 本線の直線における軌道中心間隔は、車両限界の基礎限界の最大幅に600ミリメートルを加えた数値以上とする。ただし、旅客が窓から身体を出すことのできない構造の車両のみが走行する区間では、車両限界の基礎限界の最大幅に400ミリメートルを加えた数値以上とする。

2 線間に待避する場合は、前項の軌道中心間隔を700ミリメートル以上拡大するものとする。

3 曲線における軌道中心間隔は、車両の偏いに応じ、前2項の軌道中心間隔に次の式により得られた数値を加えるものとする。ただし、この数値が建築限界と車両の基礎限界との間隔に比べて十分に小さい場合は、偏いに応じた拡大を省略することができる。なお、曲線による偏い量の算定式は、第20条第3項の曲線における建築限界、車両の偏いに応じた拡大量の算出式と同様とする。

W=A+W1+W2

W:拡大寸法

A:カント差による偏い量

W1:当該線における曲線による偏い量

W2:隣接線における曲線による偏い量

第5節 線路構造

(軌道)

第23条 軌道は、次の基準に適合するものでなければならない。

(1) 車両の構造に適合し、車両を所定の方向に案内することができること。

(2) 予想される荷重に耐えること。

(3) 車両の安全な走行に支障を及ぼす変形のおそれのないこと。

(4) 保全に支障を及ぼすおそれがないこと。

2 本線における曲線半径の小さな曲線その他の脱線のおそれのある個所又は脱線した場合に被害が甚大となるおそれのある箇所には、施設の状況、車両の構造等に応じ、脱線を防止するための設備又は脱線した場合の被害を少なくするための設備を設けなればならない。

3 軌道構造は、以下に示す表を基本とすること。

設計最高速度

種別

設計通過トン数500万トン以下

80キロメートル毎時以下

レールの重量

30キログラム毎メートル

マクラギ本数

34本以上

道床の厚さ

150ミリメートル以上

4 レールの敷設は、軌間内方へ40分の1の傾斜を付けて敷設するものとする。ただし、タイプレートを使用しない場合はこの限りでない。

5 レールは、側線、分岐器部分、軌道仮設工事中等を除く他は、5メートル未満のレールは使用しないこととする。

6 レール継ぎ目の支持方法は、支え継ぎ法及び架け継ぎ法で行う。

7 レール継ぎ目は、原則として相対式に設けるものとする。ただし、半径の小さな曲線等については相互式に設けることとする。

8 継ぎ目板を軌道破壊の大きい箇所で使用する場合は、熱処理継ぎ目板及び熱処理ボルトを使用するよう努めるものとする。

9 本線で一時的に異形継ぎ目板を使用する場合は、現場の段違い量及び継ぎ目落ち量に合ったものを使用するものとする。

10 レールを敷設する場合は、継ぎ目に遊間を設けるものとするし、踏切内及び橋台付近は避けて計画するよう努めることとする。

11 木マクラギ区間での使用する犬クギ類は、マクラギ1本に対して4本を一定方向にハ形に打ち込むのを原則とする。ただし、施工上出来ない所についてはこの限りでない。

12 軌道状態等により必要のある場合は、犬クギ又は、これに類するものを増し打ちするものとする。

13 本線の木マクラギ使用区間では、原則としてタイプレートを敷設するものとする。ただし、半径600メートルを超える曲線は、タイプレートの敷設を省略することが出来る。

14 アンチクリーパの敷設については、その個数はレールのふく進状況に応じて増減することとする。

15 異種レールを接続する場合は、中継レールを使用することとする。

16 中継レールを使用するときは、10メートルレール以上のものを使用するよう努めるものとする。ただし、地形、レール配列等で使用できないときは5メートル以上のものを使用することができる。

17 分岐器は、車両の走行装置の構造に適合して、車両を基準値又は分岐側に円滑に案内し、通過させることができる線形及び構造を有するとともに、車両通過時にその構成部材に生じる応力が材料の許容応力度以下であること。

18 分岐器の使用番数等は、8番以上の片開きとする。ただし、速度に対応し番数、両開き等に変更するものとする。

19 無道床橋りょう内及び橋りょうの橋台裏には、分岐器を設置しないものとする。ただし、地形上等やむを得ない場合であって、路盤を強化するための措置を講じた場合はこの限りでない。

20 本線におけるガードレールの設置にあたっては、次の計算式が1.2未満となる曲線及びその他の脱線のおそれがある箇所には、脱線防止レール、又は脱線防止ガード(落石又は、積雪の多い箇所その他脱線防止レール又は脱線防止用ガードを設けることが適当でない箇所にあっては、安全レール)を設けることとする。

推定脱線係数比=限界脱線係数/推定脱線係数

21 交通量等を勘案して、踏切には、踏切ガードを設けることとする。

(構造物)

第24条 土工、橋りょう、トンネルその他の構造物の設計については、以下の設計標準による。ただし、一時的な仮設物等については、この限りでない。

(1) 鉄道構造物等設計標準(土構造物)

(2) 鉄道構造物等設計標準(コンクリート構造物)

(3) 鉄道構造物等設計標準(鋼・合成構造物)

(4) 鉄道構造物等設計標準(基礎構造物・抗土圧構造物)

(5) 鉄道構造物等設計標準(シールドトンネル)

(6) 鉄道構造物等設計標準(鋼とコンクリートの複合構造物)

(7) 鉄道構造物等設計標準(土留構造物)

(8) 鉄道構造物等設計標準(開削トンネル)

(9) 鉄道構造物等設計標準(耐震設計)

(10) 鉄道構造物等設計標準(都市部山岳法トンネル)

(11) 鉄道構造物等設計標準(変位制限)

2 前項にかかわらず、許容応力度法により建築物の設計する際(耐震設計を除く)には、許容応力度法による構造物の設計によることとする。

(土木建造物の設計に考慮する列車荷重)

第25条 列車荷重の大きさはK―15(別表第4)とし、設計列車荷重を標準とする。

2 群集荷重は、次表の値を標準とする。

構造計算の対象

構造種別

常時

地震時

スラブ

コンクリート

スラブ構造

乗換跨線橋

5.0

駅部高架橋の中層スラブ等

片持スラブ・橋側歩道(バラスト軌道のけた)

ホームけた・片持スラブ

橋側歩道(バラスト軌道又は無道床のけた)

3.0

はり・柱

乗換跨線橋

3.5

1.5

駅部高架橋の中層ばり等

2.1

ホームけた

2.0

1.0

第6節 建築物

(建築物)

第26条 線路敷地内の運転保安に関する建築物及びこ線橋、プラットホームの上屋その他これに類する建築物は、予想される荷重に耐えることができ、かつ、車両の走行及び旅客の利用に特に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。

2 建築基準等の設計にあたっては、列車運転及び旅客等利用者の安全性、使用目的との整合性、経済性、維持管理の容易さ等を考慮するものとする。

3 運転保安等建物等の構造耐力の確保は、建築基準に準拠して行うものとする。

4 線路に近接した運転保安等建物は、必要に応じて列車による風圧及び振動による影響等を考慮するものとする。

第7節 安全設備

(災害等防止設備)

第27条 物件の落下等により線路に支障を及ぼすおそれのある切り取り区間には、線路の支障を防ぐための設備又は落下物等を検知するための設備等必要な措置を講じるものとする。

2 駅等の施設には、施設の状況に応じ浸水防止設備、必要な排水量に応じた排水設備等必要な措置を講じるものとする。

(橋りょう下等の防護)

第28条 交通の頻繁な道路、線路又は河川に架設する橋りょうであって、橋りょうの下を通行するものに危害を及ぼすおそれがあるものには、施設及び車両の構造に応じ、必要により物件の落下を防止するため相当の防護設備を設けるものとする。

2 交通の頻繁な道路又は河川に架設する橋りょうであって、自動車等の衝撃を受けるおそれのある場合は、必要により相当の防護設備を設けるものとする。ただし、防護設備は、防護する構造物の形式及び交通量等の状況に応じ危険である旨の表示とすることができる。

第8節 車止め及び安全側線

(車両の逸走等の防止)

第29条 車両が逸走し、又は列車が通過して危害を及ぼすおそれのある箇所には、列車等の速度、こう配等を考慮し、相当の保安設備を設けなければならない。

2 車止めの使用標準は、次によることとする。

(1) 第1種車止め

 安全側線の終端

(2) 第2種車止め(第2種車止めと同等以上の緩衝機能を有する車止め装置を含む。)

 行き止りとなる本線路の終端

 重要な側線の終端

 前項に該当する箇所で、十分な過走余裕距離を有する場合、その他正常な理由がある場合

(3) 第3種車止め

 車庫線及びこれに類似する線路の終端

 第1号から前号までに掲げる線路以外の側線の終端

(4) 第4種車止めについては、コンクリートブロック構造等及びこれと同等のものを標準とすることができる。

(車止めの形状)

第30条 車止めの形状は、別表第5別表第6及び別表第7を標準とする。

(安全側線の設置)

第31条 安全側線は、次の各号のいずれかに該当する箇所に設けるものとする。

(1) 2以上の列車を同時に進入させ、又は進出させる場合で、相互にその進路を支障するおそれのある箇所

(2) 本線又は重要側線が、他の本線と平面交差する場合又は分岐する場合で、列車相互間又は列車を車両に対して防護する必要のある箇所

(3) 構内運転をする車両が過走して、他の列車又は車両を支障するおそれのある箇所

(4) 側線相互間において車両の過走により、相互に支障するおそれのある場合で、特に必要と認める箇所

2 前項の規定に関わらず、次の各号のいずれかに該当する設備をした場合は、安全側線を設けないことができる。

(1) デジタル伝送パターン型自動列車停止装置を備えたとき。

(2) 防護すべき信号機の外方の信号機が警戒信号を現示する装置を有するとき。

(3) 自動列車停止装置を備え、信号機又は列車停止標識位置から前方へ100メートル以上の過走余裕距離を設けたとき。

3 第1項の規定にかかわらず、同項第3号に規定する箇所であっても、入換信号機又は車両停止標識の前方に50メートル以上の過走余裕距離を設けたとき又は構内運転の速度を1時間25キロメートル以下とするときは、安全側線を設けないことができる。

4 地形その他の理由により、安全側線を設けることができないときは、脱線ポイントをもってこれにかえることができる。

第9節 線路内への立入防止

(線路内への立入防止)

第32条 人が線路に立ち入るおそれのある場所には、必要に応じ、相当の防護設備を設け、又は危険である旨の表示をしなければならない。

2 鉄道用地は、用地界標を設け、必要に応じて柵垣等を設けて、侵害されないよう管理するものとする。

第10節 避難用設備等

(避難用設備等)

第33条 線路は、事故等が発生した場合その他緊急の場合に避難しようとする旅客が歩行できるものとする。ただし、施設の状況に応じ相当の避難設備がある場合はこの限りでない。

第11節 ガードレール類

(脱線防止レール及び脱線防止ガード)

第34条 本線で、次の各号のいずれかに該当する箇所には、脱線防止レール及び脱線防止ガードを敷設するものとする。ただし、安全レールを敷設した場合は、これによらないことができる。

(1) 半径250メートル未満の箇所

(2) 急こう配中の曲線又は、高築堤等で、脱線した場合に危害がはなはだしいと認められる箇所

(3) その他前2号に掲げる箇所以外の特に必要と認められる箇所

2 脱線防止レール及び脱線防止ガードの敷設方法は、次に定めるところによる。

(1) 危険の大きな側の反対側レールに設けること。

(2) 本線レールに対して、同高又はこれより高いものを使用すること。

(3) 本線レールに対して65ミリメートルにスラックを加算した間隔又は最大85ミリメートルの間隔のいずれか小さい間隔で敷設し、その両端部においては、本線レールに対して180ミリメートル以上の間隔とし、1.5メートル以上の長さで円滑に逓減すること。

(4) 脱線防止レールの継ぎ目部には、継ぎ目板を使用し、継ぎ目ボルトは、フランジウェイ外側において緊締し、犬クギ類により各マクラギに緊締すること。

(5) 半径300メートル未満の曲線中の踏切における脱線防止レールと踏切ガードレールの取り付けは、踏切幅員の外方1メートル間で行うこと。

(安全レール)

第35条 脱線防止レールを必要とする箇所で、これを取り付けるのが不都合な箇所及び落石の多い箇所においては、安全レールを敷設するものとする。

2 安全レールの敷設方法は、特別な場合を除き、次の各号に定めるところによるものとする。

(1) 危険の大きい側の反対側レールの軌間内方に設けること。ただし、落石の多い箇所では、危険の大きい側のレールの軌間外方に設けること。

(2) 本線レールに対して、80ミリメートル又は220ミリメートルの間隔で敷設し、その両端部においては、本線レールに対して300ミリメートル以上の間隔とし、2メートル以上の長さで円滑に逓減すること。

(3) 安全レールの継ぎ目部には、継ぎ目板を使用し、継ぎ目ボルトは、安全レールが軌間外方にあるときは、安全レールの外側において緊締するものとし、マクラギへの締結は、1本おきとすることができる。

(4) 踏切付近においては、安全レールが軌間内方にあるときの安全レールと踏切ガードレールの取り付けは、踏切幅員の外方1メートル間で行うものとし、安全レールが軌間外方にあるときは、安全レールの終端が踏切に達するようにすること。

(橋上ガードレール)

第36条 橋マクラギを使用する橋りょうで、次の各号のいずれかに該当するものには、橋上ガードレールを敷設するものとする。

(1) 曲線橋りょう

(2) 列車の進入側に半径600メートル未満の曲線が接近している橋りょう

(3) 1,000分の10以上のこう配中又は、縦曲線中の橋りょう

(4) その他前3号に掲げる橋りょう以外の特に必要と認められる橋りょう

2 橋上ガードレールの敷設方法は、特別の場合を除き、次の各号に定めるところによるものとする。

(1) 本線レールの両側の軌間内方に設けること。ただし、降雪の多い箇所及びその他特に必要のある箇所で、敷設に支障のない場合は、本線レールの両側の軌間外方に設けること。

(2) 橋上ガードレールの継ぎ目部の接続及びマクラギへの締結方法は、別途規定を準用すること。ただし、橋上ガードレールをマクラギけい材に兼用するときは、各マクラギに締結する。

(踏切ガード)

第37条 踏切には、踏切ガードを設け、レール面と同高に敷板、敷石等を施するものとする。この場合、特殊な構造のものを除き、レールから外方約150ミリメートルは板張りとする。

2 交通まれな踏切においては、半径300メートル未満の曲線の場合を除き、踏切ガードを省略できることができる。

第12節 線路標

(線路標)

第38条 本線には、線路の保全及び列車の運転の安全確保に必要な、次の各号に掲げる線路標を設けなければならない。塗色は、地色を白塗りとし、文字は黒書きとする。

(1) 線路の分岐する箇所で、車両等が他の車両の支障しない限界を表示するために車両接触限界標を設けるものとする。

(2) 1キロメートル(甲号):500メートル(乙号):100メートル(丙号)毎に起点からの距離を示す距離標を設けるものとする。

2 曲線の始終点において、円曲線の半径及び長さ、カント量、スラック量等を示す曲線標を設けるものとする。

3 こう配の変更する箇所において、こう配標を設けるものとする。

4 線路標の形状は、別表第8を標準とする。

第4章 停車場

第1節 停車場

(停車場の配線)

第39条 停車場の配線は、列車の運行に適合したものでなければならない。

2 停車場において、待避の用に供される本線の有効長は、当該本線に待避する最長の列車に対して十分な長さを設けなければならない。

(駅の設備)

第40条 駅には、旅客等に応じ、プラットホームや乗降人員に応じて旅客の取扱に必要な設備を設けるほか、通行に必要な情報を提供するための措置を講ずるよう設けるものとする。ただし、既存の設備については改良工事等を行うまでの間は設置に努めるものとする。

2 旅客又は貨物の取扱いに必要な相当の設備は、次の各号に掲げるものとし、旅客数、貨物の取扱量等を考慮した設備を設けるものとする。

(1) プラットホーム

(2) 流動設備(通路、コンコース、階段、跨線橋等)

(3) 接客設備(出改札)

(4) 滞留設備(出札、待合室)

(5) 業務施設(駅務施設)

(6) 便所

(7) 照明設備等

(8) 前各号に掲げるもののほか旅客の取扱いに必要な駅設備

3 駅を利用する旅客に有用な情報提供するための設備とは、旅客を出改札口、コンコース、プラットホーム、トイレ等へ適切な誘導案内するための設備であり、誘導サイン、位置サイン、案内サイン、規制サイン等の設備をいう。

(プラットホーム)

第41条 プラットホームは、次の各項の基準に適合するものでなければならない。

2 プラットホームの有効長は、当該プラットホームに発着する列車の最も前方にある旅客車から最も後方にある旅客車までの長さのうち最長のものの長さ以上であって、旅客の安全かつ円滑な乗降に支障を及ぼすおそれのないものとする。ただし、当該プラットホームにおける乗降人員が少ない場合であって、列車の運用上やむを得ない場合等にあっては、ドア非扱いを行い、かつ、案内放送を行う等の旅客の乗降及び転落を防止するための措置を講ずることによりプラットホームの有効長を発着する列車長に対して短くすることができる。

3 プラットホームの幅は、片側を使用するものにあっては中央部を2メートル以上、端部を1.5メートル以上とする。ただし、旧省令において、特別な許可を受けたもの又は附則に基づく経過措置により特別の構造の認可の許可を受けたものとみなされたプラットホームについては、旅客への注意喚起等を行うこととする。

4 プラットホームにある柱類及び跨線橋口等の壁とプラットホーム縁端との距離は、次の各号のとおりとする。ただし、一時的に仮設物等を設置した場合で、旅客誘導案内施設の設備、又は係員による旅客への注意喚起等を行った場合はこの限りでない。

(1) プラットホームにある柱類とプラットホーム縁端との距離は1.0メートル以上とする。

(2) プラットホームにある、待合室等とプラットホーム縁端との距離は1.5メートル以上とする。

(3) 前号の規定は、可動ホーム柵その他の列車に対し十分に旅客を防護する設備(以下「ホーム柵等」という。)を設けたプラットホームについては、適用しないものとする。

(4) ホーム柵等を設けたプラットホームにあっては、プラットホームにあるこ線橋口、地下道口、待合所等とホームドア等との縁端との距離は、1.2メートル以上(旅客の乗降に支障を及ぼすおそれのない箇所にあっては、0.9メートル以上)とすることができる。

(5) プラットホームと車両の旅客用乗降口の床面とは、できる限り平らであること。

(6) プラットホームの縁端と旅客車の床面又は踏み段の縁端との間隔は、車両の走行に支障を及ぼすおそれのない範囲において、できる限り小さくする。ただし、構造上の理由によりやむを得ず大きい場合は、旅客に対してこれを警告するための設備等を設けなくてはならない。

(7) プラットホームの線路側以外の端部には、旅客の転落を防止するために柵を設けなければならない。ただし、当該端部が階段等である場合その他の旅客が転落するおそれのない場合はこの限りでない。

(8) プラットホームの床の表面は、旅客が滑りにくい仕上げとする。

(9) プラットホーム上の旅客に対し、列車の接近を文字等により警告するための設備及び音声により警告するための設備を設けるものとする。ただし、電気設備がない場合、又はその他技術上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。

(10) プラットホームの縁端の笠石等は、滑りにくい仕上げとする。

(11) プラットホームの高さは、レール面から920ミリメートルを標準とする。なお、高さは、プラットホームが曲線に沿う場合は、内外軌レールを含む平面にプラットホーム縁端から垂直に下した垂線の長さとする。

(旅客用通路等)

第42条 旅客用通路及び旅客用階段の幅は、旅客の流動に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。

2 旅客通路は、次の各号に適合するものとする。

(1) 旅客通路の幅は、1.5メートル以上とする。ただし、一時的な仮設物等を設置した場合で旅客誘導案内施設の設備、又は係員による旅客への注意喚起等を行った場合は、この限りでない。

(2) 旅客用階段には概ね高さ3メートル毎に1ケ所踊り場を設けるものとする。

(3) 旅客用階段には、手すりを設けるものとする。

(4) 旅客用階段の幅については、1.5メートル以上とする。

(5) 旅客の流動が少なく円滑な流動に支障がない場合又は季節的に期間を限って営業する特別な停車場にあっては、前4号によらないことができる。

3 旅客用階段には、旅客が転落する危険を防止するための措置を講じなければならない。

第2節 車庫等

(車庫等)

第43条 車庫は、収容する車両に応じ、十分な収容能力を有するものでなければならない。

2 車両検査修繕施設は、検査又は修繕をする車両に応じ、十分な検査設備及び修繕設備を有するものでなければならない。

第5章 道路との交差

(道路との交差)

第44条 鉄道は、道路(一般公衆の用に供する道をいう。以下同じ。)と平面交差してはならない。ただし、鉄道及び道路の交通量が少ない場合や鉄道路線の地勢地形上等の状況から立体交差が真に困難な場合はこの限りでない。

(踏切道)

第45条 踏切道は、踏切道を通行する人及び自動車等(以下「踏切道通行人等」という。)の安全かつ円滑な通行に配慮したものでなければならない。

2 踏切道は、次の各号に適合したものであること。

(1) 踏切道は、路面は舗装したものであること。

(2) 踏切道は、鉄道と道路との交差角度は45度以上としなければならない。

(3) 踏切道には、警標を設けること。

(4) 甲賀市鉄道電気実施基準第8章の規定により、踏切保安設備を設けること。

第6章 施設の保全

(軌道の維持管理の原則)

第46条 軌道の維持管理にあたっては、次の各号を守るものとする。

(1) 常に軌道状態を把握し、列車の運転状況に適応する軌道の維持に努めること。

(2) 急進のおそれがある欠陥は、その予防に努め、これが発生し始めた時には機を逸せず適切な処置をとること。

(3) 材料は使用方法に注意し、その持久を計ること。

(4) 災害防止及びその原因の除去に努めること。

(5) 他課関係施設に関連する場合は、関係者間の打合せを十分に行い、必要に応じ、立会して作業を行うこと。

2 軌道の維持管理にあたっては、軌道に対する要求性能を考慮し、維持管理計画を策定するものとする。

3 軌道の維持管理については、鉄道構造物等維持管理標準(軌道編)に基づいて実施するものとする。

(建造物の維持管理の原則)

第47条 建造物の維持管理にあたっては、建造物に対する要求性能を考慮し、検査及び措置の方法等を定めた維持管理計画を策定するものとする。

2 建造物の維持管理については、本基準によるほか、鉄道構造物等維持管理標準(構造物編)に基づいて実施するものとする。

(施設の保全)

第48条 施設及び保安装置は、列車等が所定の速度で運転することができる状態に保持しなければならない。

2 本線及び本線上に設ける線路設備が一時前項の状態でないときは、列車等の速度の制限その他の列車等の運転の安全に必要な措置を講じ、特に注意を必要とする箇所は、これを監視しなければならない。

(新設した施設の検査及び試運転)

第49条 新設、改築、改造又は修理をした線路及び保安装置は、定期検査に準じた検査及び試運転を行った後でなければ、使用してはならない。ただし、簡易な改築、改造又は修理をした場合、及び本線に支障を及ぼすおそれのない側線に対しては、試運転を省略することができる。

2 災害その他運転事故が発生した施設で故障の疑いがある場合、又は長期にわたり使用を休止した施設で列車等を運転する場合は、当該施設を検査し、必要に応じて試運転を行い、機能を確かめた後、使用開始するものとする。

(災害警備)

第50条 暴風雨、雪、荒天、地震等の場合は、事故・災害復旧対策要領により、警戒を行うものとする。

2 前項以外の異例の事態が発生した場合は、前項に準じて線路巡視を行いその状況を速やかに把握するように努めるものとする。

(線路の巡視及び検査)

第51条 線路状態の全般的な把握のため、本線及び重要側線の巡視を行うものとする。

2 巡視は、徒歩、列車等により行うものとする。

(1) 巡視は月1回以上を標準として行うこととする。

(2) 列車巡回は7日1回を標準として行うこととする

3 巡視の結果、必要と判断された場合は、検査又は措置を行うものとする。

4 巡視を実施した場合、その年月日、方法、区間、巡視者名、異常の有無等を記録保管するものとする。

(施設の定期検査)

第52条 線路については、次の表に掲げる施設の種類に応じ、検査基準日(検査を行うべき時期を決定する基準となる日として、施設の性質その他の事情(施設が気象状況の影響を受ける度合い及び施設周辺の植生の状況等)を勘案して、個々の施設又はその部分に定める日をいう。次項及び第3項第1号において同じ。)から起算して、それぞれ同表に掲げる基準期間を経過した日の属する月(基準期間が1年未満施設にあっては、基準期間を経過した日。以下この項において「基準期間経過月日」という。)又は基準期間月日のそれぞれ前後同表に掲げる許容期間内に定期検査を行わなければならない。

施設の種類

基準期間

許容期間

軌道

1年

1箇月

橋りょう・その他の建造物

2年

1箇月

※ 橋りょう・その他の建造物は、列車を直接的若しくは間接的に支障する、又は列車の走行空間を確保するための人工の工作物とし、仮設物は含まないこととする。

2 前項の検査基準日は、正当理由がある場合(施設の大規模改良工事を行う場合等であって、当該施設又はその部分毎に定められた変更前の検査基準日から起算した検査の周期を超えない範囲内で、定期検査と同等以上の検査を実施する場合等)には、変更することができる。

3 次の各号に規定する場合は、第1項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。

(1) 施設の状態その他の事情(施設の健全度、使用の状況及び周辺の気象状況等)を勘案して、第1項に規定する検査の周期を短縮する必要があると認められるときは、個々の施設又はその部分毎に、同項の表に掲げる基準期間の範囲内で、適切な期間(施設の性質その他の事情により検査を行う時期が限られる施設にあっては、検査に適した時期を勘案したもの。次号において同じ。)を定め、定期検査を行わなければならない。この場合の検査の周期には、検査基準日から起算して、当該期間を経過した日の属する月(当該期間が1年未満の施設にあっては、当該期間を経過した日。)の前後それぞれ次の表に掲げる期間の範囲内で、第1項の表に掲げる許容期間に準じた期間を含めることができる。

第1項の表に掲げる基準期間の範囲内で定める適切な期間

第1項の表に掲げる許容期間に準じた期間

1年以上

1月

6月以上1年未満

30日

6月未満

14日

(2) 第1項の定期検査に加えて、詳細検査、分析及び評価(以下「検査等」という。)を行った場合であって、当該検査等を行った施設(軌道、土構造物及び抗土構造物を除く。)が十分な耐久性を有すると認められるときは、個々の施設毎に、耐久性を損なうおそれがないと認められる期間の範囲内で、同項の表に掲げる基準期間を超えて適切な期間(鋼・合成構造物にあっては4年、コンクリート構造物にあっては6年を限度とする。)を定め、定期検査を行うことができる。この場合の検査の周期には、同表に掲げる許容期間と同一の期間を含めることができる。

(応急用資材の準備)

第53条 本線又は重要な側線においては、応急の場合に備え一定の場所にあらかじめ応急用資材を準備しておくものとする。また、この資材は常に使用できるよう機能の保全に努めなければならない。

(検査の特例)

第54条 第52条の検査を行う場合において、特別の事由により検査を行うことができない施設については、この事由が終了するときまでは検査を延期することができる。

(記録)

第55条 検査の実施結果、措置の実施内容及び施設の維持管理において必要となる事項については、施設毎に保存期間を5年と定め、適切な方法で記録し、整理のうえ、保管するものとする。

2 建造物の変状記録は、当該建造物の変状履歴が把握できるよう、保存するものとする。

3 記録する項目については、鉄道構造物維持管理標準によることとするが、検査基準日、正当な理由により検査基準日を変更した年月日、理由、検査周期を延長した場合の判断の根拠等についても、検査台帳等に記録するものとする。

第7章 軌道及び材料の補修基準

(軌道の整備)

第56条 線路の整備は、軌道構造、輪重、運転速度、通過トン数等に応じて実施するものとし、保守周期を想定し、整備値、保守の予算、従業員数、保守方法等を定め、計画的に行うものとする。

2 整備状況によっては、列車又は車両が所定の速度で走行できない時は、列車抑止及び列車徐行の手配を行うものとする。

3 整備値については、軌道変位の種別毎に数値設定し、その整備値を超過した際は保守体制等を整えてこれに当たることとする。

4 一般軌道は、次に定める整備の値に基づき、次の各号により整備を行うものとする。

(1) 軌道の整備に当たっては、効果的な整備に努めなければならない。

(2) 整備基準値に達した軌道狂い、並びに整備基準値未満の軌道狂いの場合であって急進性のもの及び列車の動揺に特に大きな影響を与えるものについては、早急に整備を行うものとする。

(3) 狂い量は、5メートル弦で測定し静的値で示し、下記の整備基準値以内になれば整備するものとする。

軌道整備基準値

狂いの種別

狂い量(ミリメートル)

本線

側線

軌間

直線<R=600

14

14

R=200<R=600

19

19

R=200未満

14

14

水準

平面性に基づき整備を行う

高低

22

22

通り

22

22

平面性

18(カントの逓減量を含む)

18

軌道整備目標値

狂いの種別

狂い量(ミリメートル)

本線

側線

軌間

7、-4

7、-4

水準

8

10

高低

8

10

通り

8

10

平面性

(分岐器の整備)

第57条 分岐器は、良好な状態に整備しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、整正しないことができる

(1) クロッシング部の軌間+5ミリメートル以内―3ミリメートル以内

(2) バックゲージ

Nレール用分岐器1,022ミリメートル以上1,032ミリメートル以下

Nレール以外の分岐器1,020ミリメートル以上1,032ミリメートル以下

2 バックゲージの測定を行うときは、鼻端レールのフローの影響を控除するものとする。

3 列車の動揺に大きな影響を及ぼすことなく、かつ、保守上支障ない場合に限り、これを整正しないことができる。

(遊間及びその整正)

第58条 レール継目部における遊間は、座屈等に対して安全性が確保できなくなることが予想される場合には、遊間整正を行うものとする。

(レールの小返り)

第59条 レールの小返りは、甚だしくならない内に整正しなければならない。

(要注レール及び継ぎ目の監視)

第60条 異常を生じたレール及び継ぎ目板は、詳細にこれを調査し、まだ更換を必要としないものはその部分に白ペイントを塗って識別し、常に監視に努め、損傷、き裂等で急進の状態を生じた場合は、直ちにこれを更換しなければならない。

(トングレールの密着及び接着)

第61条 ポイントのトングレールは、基本レールに密着し、過大な隙間が生じないように保守しなければならならない。

2 常時鎖錠してあるポイントについては、必要の都度転換し密着又は接着するように保守しなければならない。

(ヒール部の目違え、段違い及びトングレールのくい違い)

第62条 ポイントのヒール部は、目違い、段違いのないように保守しなければならない。

2 ポイントの左右トングレールは、くい違いのないように保守しなければならない。

(タイバーボルト及びヒールボルトの保守)

第63条 タイバーボルト及びヒールボルトは、別途定めるものにより締結する。

(レールブレス及び座金の保守)

第64条 レールブレス及び座金は、レール底部、あご下及び腹部等に完全に密着するように取り付けるものとする。

(継ぎ目部の保守)

第65条 継ぎ目板は、遊間の機能維持及び摩耗防止のために、グリス塗布又は注油を行うものとする。

(絶縁継ぎ目部の保守)

第66条 絶縁継ぎ目を敷設する場合は、切断面の腹部上端丸味部を含む頭部全周及びボルト穴全周に面取りを行うものとする。

2 ボルトは、適正な緊締度により締結するものとし、弛緩しないように努めるものとする。

(ボルトの緊締)

第67条 継ぎ目ボルトは、継ぎ目板の支持力を十分に保たせるとともに、レールの伸縮を過度に妨げないよう、適正な緊締度により緊締し、弛緩しないように努めるものとする。

2 レール締結装置用ボルト、フックボルト等は、適正な緊締度により緊締し、弛緩しないように努めるものとする。

(継ぎ目板用ボルト、ナットの取り付け及び緊締)

第68条 ボルト及びナットの取り付けは、特別な場合を除き、30キログラム以下のレールでは外側、その他のレールでは各レール端において、交互に取り付けるものとする。

(フックボルト)

第69条 フックボルトは、抜け上り止め及び抜け上がり管理が容易な形状のものを使用するものとする。

(マクラギの敷設)

第70条 マクラギの間隔が拡大したとき、又は軌道中心線に対する直角狂いが生じたときは、速やかに整正するものとする。

2 マクラギは、表面を上面に敷設するようにするものとする。ただし、材質によりこの限りでない。

3 マクラギに丸味のあるものは、幅の広い面を下敷きとして敷設するものとする。

(道床バラストの整備)

第71条 道床バラスト区間においては、マクラギを露出させないように道床バラストの補充を行わなければならない。

(軌道のこう上及び低下の取り付け)

第72条 軌道をこう上し、又は低下する場合の取り付け延長は、こう上量又は低下量の400倍以上とし、取り付け部分を十分につき固めものとする。

2 前項の規定にかかわらず、取り付け延長をこう上量又は低下量の400倍以上とすることが困難な場合は、列車動揺に大きな影響を及ぼさない限り、200倍以上とすることができる。

(レール更換基準)

第73条 本線のレール更換は、次の各号に定める状態に達したものは、新レール又は適当なレールと更換するものとする。

(1) レール頭部の最大摩耗高が軌間内側において、次に定める程度に達し、かつ、期間外側も著しく摩耗しているもの。

レール種別

30キログラムレール

37キログラム・40キログラムニュートンレール

50キログラムニュートンレール

摩耗高

11ミリメートル

15ミリメートル

16ミリメートル

(2) レールの摩耗、腐食等による断面積の減少が次に定める程度に達したもの。

レール種別

30キログラムレール

37キログラム・40キログラムニュートンレール

50キログラムニュートンレール

断面減少率

20パーセント

28パーセント

30パーセント

(3) 波状摩耗の波高が、1.5ミリメートルに達したもの。

(4) 前3号に掲げるもののほか、運転保安上危険のおそれがあると認めたもの。

(分岐器の更換基準)

第74条 分岐器は、次に定める状態に達したものは更換するものとする。

種別

摩耗量(ミリメートル)

備考

30キログラムレール

37キログラム・40キログラムニュートンレール

50キログラムニュートンレール

トングレール

8

9

11

摩耗高さは、摩耗面に直角に最大摩耗箇所を測るものとする

クロッシング

8

10

11

摩耗高さは、摩耗面に直角の方向に測るものとする。ただし、クロッシング落込部上面摩耗に限り、上面直角に測るものとする

ガードレール

バックゲージが整正出来ない程度に摩耗したもの。

クロッシング鼻端付近落込部を測るものとする。ただし、クロッシングの摩耗防止を役目とするものは、当該箇所を追加測定する

分岐内レール

8

9

11

摩耗高さは、摩耗面に直角の方向に測るものとする

2 前項の定める数値に達しないもので、運転上危険な程度に進むおそれがある損傷があるもの、又は車両の脱線しやすい形状に磨耗したもの。

(ポイント先端部の磨耗による更換)

第75条 ポイント先端部の基本レールとトングレールの磨耗による更換は原則として、次の表を基準とする。

分岐器内レール別

最大摩耗量(ミリメートル)

基本レール

8

トングレール

8

(施行日)

1 この実施基準は、平成25年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この実施基準の施行前において、次の各号に該当するものについては、この規定に適合しているものとみなす。

(1) 旧省令第4条の特別の構造又は取扱の許可(以下「特別許可」という。)を受けたもの。

(2) 旧省令の附則に基づく経過措置により、旧省令の施行後最初に行う改造の工事が完了するまでの間、前号の特別許可を受けたとみなされたもの。

3 省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令(平成14年3月国土交通省令第19号)第2条第1項の経過措置に該当するものは、この規定に適合しているものとみなす。

4 この実施基準施行の際、現に存する施設で、この実施基準の定めに抵触するものは、この実施基準の施行後最初に行う改築又は改造の工事が完成するまでの間は、この実施基準によらないことが出来る。

別表第1(第20条関係)

建築限界

1 非電化区間及び直流電化区間

(単位:mm)

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備考


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基礎限界を示す。

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架空電車線(直流)により電気運転を行う区間において架空電車線及びその懸ちよう・・・装置、絶縁補強材を除いた上部に対する限界(この限界は、トンネル、雪おおい、こ線橋及びその前後にあって、集電装置によって押し上げられる架空電車線の高さがレール面から4,650mmをこえない安全な架線支持方法をとる場合は、画像をもって示す限度まで、ホーム上家のひさし、橋りよう・・・及びその前後では画像をもって示す限度まで、これを縮小できるものとし、各相互間の限界は架空電車線のこう・・配に従って決めるものとする。)

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信号機、標識及び合図器並びに特殊なトンネル及び橋りよう・・・に対する限界

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乗越分岐器に対する限界

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側線及び貨物列車のみの発着する本線路における給油所、給水所及び信号柱並びに側線における転車台、計重台、洗車所、車両屋上機器点検台、車庫の入口及びその内部の装置並びに軌道間に立てる貨物積降場の上家の支柱に対する限界

別表第2(第20条関係)

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画像:基礎限界を示す。

画像:工事施工のため一時的な仮設物に対する限界

別表第3(第20条関係)

車両限界

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基礎限界を示す。

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側線及び貨物列車のみの発着する本線における給油所、給水所及び信号柱並びに側線における転車台、計重台、洗車所、車両屋上機器点検台、車庫の入口及びその内部の装置並びに軌道間に建てる貨物積降場の上家の支柱に対する限界

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車両洗浄台に対する限界

別表第4(第25条関係)

列車荷重

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別表第5(第30条関係)

車止

(1) 第1種車止め

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(2) 第2種車止め(側面)

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(3) 第3種Ⅰ号車止め(側面)

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(4) 第3種Ⅱ号車止め(側面)

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別表第6(第30条関係)

車止 木製

木製

(断面)

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別表第7(第30条関係)

車止 区分

第4図

第10図

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第5図

第11図

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別表第8(第38条関係)

線路標

(1) 距離標

甲号の1

甲号の2

乙号の1

乙号の2

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備考)

1 甲号の文字は、縦に列記する。

2 乙号は、図示の例のように記入する。

3 甲号の1及び甲号の2の文字は、縦約150mm、横約112mmとする。また、乙号の文字は、甲号に準じ適当の大きさとする。

4 丙号の形状は、特に定めない。

(2) 距離更正箇所における距離標

甲号の1

備考)

1 形状、寸法及び表面記載文字は、普通箇所と同一とする。ただし、表面下部に黒色線を記入する。

2 標裏面の起点寄りに起点方から起算した距離を、終点寄りに終点方に起算すべき距離(表面記載の距離に同じ)を記し、起点寄り距離から終点寄り距離を差し引き、その代数差すなわち更正距離を上方に記載する。

3 乙号の場合も、甲号と同様の形式で記載する。

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(3) こう・・配標

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備考) こう・・配の屈折方向が、上下相反する場合は、標板を1枚とし、その両面にそれぞれこう・・配を表示することができる。

(4) 曲線標

甲号の1

乙号

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備考)

①曲線標は、新幹線以外の線区においては、曲率半径、C…カントS…スラック、CCL…円曲線長及びTCL…緩和曲線長を、記載すること。

②複線以上の場合で、各線のカントのみ異なる場合は画像のように記載すること。

③曲線標及び逓減標の建植方法は次のとおりとする。

別表第9(第41条関係)

プラットホーム

プラットホームに対する建築限界

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甲賀市線路構造実施基準

平成25年4月1日 訓令第6号

(平成25年4月1日施行)

体系情報
第8編 市民生活/第4章 交通対策
沿革情報
平成25年4月1日 訓令第6号