○甲賀市運転保安設備実施基準

平成25年4月1日

訓令第7号

目次

第1章 総則

第1節 総則(第1条―第3条)

第2節 実施基準(第4条)

第3節 一般規定(第5条―第7条)

第4節 係員(第8条・第9条)

第2章 閉そく装置等(第10条)

第3章 鉄道信号の現示装置等

第1節 現示装置の構造、現示等の方法、配置の方法(第11条―第32条)

第2節 現示装置の設置の方法、制御の方法(第33条―第35条)

第3節 合図器及び標識(第36条・第37条)

第4章 連動装置等(第38条―第40条)

第5章 自動列車停止装置(第41条―第43条)

第6章 列車検知装置(第44条―第46条)

第7章 保安通信設備

第1節 保安通信設備(第47条―第51条)

第2節 架空通信線の施設(第52条・第53条)

第8章 踏切保安設備

第1節 踏切警報機及び踏切遮断機の構造等(第54条―第58条)

第2節 踏切支障報知装置の構造等(第59条―第61条)

第9章 障害発生時の安全確保(第62条)

第10章 信号通信設備の保全

第1節 保全に関する用語の意義(第63条)

第2節 保全及び事故時等の処置(第64条―第72条)

第3節 資料等の整備(第73条―第77条)

付則

第1章 総則

第1節 総則

(目的)

第1条 この実施基準は、鉄道の運転保安設備を建設、改良、整備及び保全する場合の機能について定め、安全、正確及び迅速な輸送完遂に寄与することを目的とする。

(適用の範囲)

第2条 鉄道の運転保安設備の建設、改良、整備及び保全については、省令及びその他の法令並びに別に定めるもののほか、この実施基準の定めるところによる。

2 その他の法令において、主な法令は次の各号のとおりである。

(1) 電波法(昭和25年法律第131号)

(2) 有線電気通信法(昭和28年法律第96号)

(3) 踏切道改良促進法(昭和36年法律第195号)

(4) 踏切道の立体交差化、構造の改良及び保安設備の整備に関する省令(平成13年国土交通省令第86号)

(5) 施設及び車両の定期検査に関する告示(平成13年国土交通省告示第1786号)

3 別に定めるものの主なものは、次の表のとおりである。

規程名

関係事項

甲賀市線路構造実施基準

(平成25年4月甲賀市)

軌道土木の構造及び踏切道

甲賀市線電気設備実施基準

(平成25年4月甲賀市)

電気設備

(用語の意義)

第3条 本基準における用語の意義は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 「本線」とは、列車の運転に常用される路線をいう。

(2) 「側線」とは、本線以外の線路をいう。

(3) 「駅」とは、旅客の乗降又は貨物の積卸しを行うために使用される場所をいう。

(4) 「信号場」とは、専ら列車の行き違い又は待ち合わせを行うために使用される場所をいう。

(5) 「操車場」とは、専ら車両の入替え、又は列車の組成を行うために使用される場所をいう。

(6) 「停車場」とは、駅、信号場及び操車場をいう。

(7) 「車庫」とは、専ら車両の収容を行うために使用される場所をいう。

(8) 「車両」とは、旅客車及び特殊車(事故救援車その他特殊な構造又は設備を有するものをいう。)であって、鉄道事業の用に供するものをいう。

(9) 「列車」とは、停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両をいう。

(10) 「閉そく」とは、一定の区間に同時に2以上の列車を運転させないために、その区間を1列車に占有させることをいう。

(11) 「運転保安設備」とは、信号保安設備、踏切保安設備及び保安通信設備をいう。

(12) 「信号」とは、係員に対して、列車又は車両(以下「列車等」という。)を運転するときの条件を現示するものをいう。

(13) 「合図」とは、係員相互間で、その相手方に対して合図者の意思を表示するものをいう。

(14) 「標識」とは、係員に対して、物の配置、方向、条件等を表示するものをいう。

(15) 「鉄道信号」とは、信号、合図及び標識をいう。

(16) 「列車等の運転に直接関係する作業を行う係員」とは、運転保安設備の保守、工事等で列車の運転に直接関係がある作業を指揮監督する係員をいう。ただし、指揮監督する係員がいない作業にあっては、その作業を行う係員とする。

(17) 「施設及び車両の保守を行う係員その他これに関する作業を行う係員」とは、運転保安設備保全業務を行う係員をいう。

第2節 実施基準

(実施基準の取扱い)

第4条 係員は、施設の構造及びその取扱いに際して、この実施基準を遵守しなければならない。

2 実施基準を定め、又は変更しようとする場合は、必要により関係機関と調整を行うこと。

3 施設の性能試験のために運転する列車に対して、別に取扱いを定めたときは、実施基準によらないことができる。

4 災害等のため一時使用する施設の構造については、実施基準によらないことができる。

第3節 一般規定

(危害の防止)

第5条 のり切り、切土、掘削、盛土、くい打ち等の土砂の掘削等を伴う鉄道の工事にあっては、工事中及び存続期間中に土砂崩壊、かん没、排土すべり出し等によって人に危害を及ぼさないように工事を行わなければならない。

(著しい騒音の防止)

第6条 鉄道事業者は、列車の走行に伴い発生する著しい騒音の防止に努めなければならない。

2 新設又は大規模改良に際しては、沿線屋外の地上1.2メートルの高さにおける近接側軌道中心線から水平距離が12.5メートルの地点において、次の各号に掲げる騒音レベルとする。

(1) 新設は、等価騒音レベルとして、昼間(7時以降~22時まで)は60デシベル以下、夜間(22時以降~翌日7時まで)は55デシベル以下とする。

(2) 大規模改良は、騒音レベルの状況を改良前より改善する。

3 前項において、新設とは、鉄道事業法(昭和61年法律92号)第8条の工事の施行認可を受けて工事を施工する区間をいい、大規模改良とは、道路との連続立体交差化又はこれに準じる立体交差化を行うため、鉄道事業法第12条の鉄道施設の変更認可をうけて工事を施工する区間をいう。

4 次の各号に掲げる区間及び場合については、第2項の規定は適用しないものとする。

(1) 住宅を建てることが認められていない地域及び通常住民の生活が考えられない地域

(2) 踏切等防音壁の設置が困難な箇所及び分岐器設置区間

(3) 事故、自然災害、大みそか等通常と異なる運行をする場合

(移動円滑化のために講ずべき措置)

第7条 建造物の整備にあたっては、高齢者、障害者等の移動上、又は施設の利便上の便利性及び安全性の向上のために講ずべき措置については、高齢者、障害者等移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第8条の定めるところによる。

第4節 係員

(運転の安全確保)

第8条 鉄道事業者は、列車等の運転に当たっては、係員の知識及び技能並びに運転関係の設備を総合的に活用して、その安全確保に努めなければならない。

(係員の教育及び訓練等)

第9条 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員並びに施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う係員に対し、作業を行うのに必要な知識及び技能を保有するよう、教育及び訓練を行わなければならない。

2 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員が作業を行うのに必要な適性、知識及び技能を保有していることを確かめた後でなければその作業を行わせてはならない。

3 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員が知識及び技能を十分に発揮できない状態にあると認めるときは、その作業を行わせてはならない。

4 列車等の運転に直接関係する作業を行う係員は、次のとおりとすること。

(1) 列車等を操縦する係員

(2) 列車の運転順序変更、行き違い変更、運転の取消等の運転整理を行う係員

(3) 列車防護、ブレーキの操作又は運転上必要な合図を行うために列車に乗務する係員

(4) 列車等の進路制御、閉そく、鉄道信号の取扱い又は転てつ器の操作をする係員

(5) 線路、電車線路又は運転保安設備の保守、工事等で列車の運転に直接関係があるものを単独で行い、又は指揮監督する作業を行う係員

(6) 踏切保安設備を操作する係員

5 施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う係員は、次のとおりとし、施設及び車両の保守その他これに類する作業を委託する場合にあっては、委託した作業を行う係員以外の係員を含むものとする。

(1) 構造物、線路及び建築物の保全作業を行う係員

(2) 電気設備及び運転保安設備の保全業務を行う係員

(3) 車両の検査及び修繕業務を行う係員

(4) 電気設備の機器開閉操作を直接行う係員

6 第4項の係員に対する適性の確認は、身体機能検査及び精神機能検査により行うこと。

7 第4項の係員に対する教育及び訓練の実施、適性、知識及び技能の確認は、当該係員の所属する係員(係員が所属している事業者が係員以外の場合にあっては、当該作業を委託した協力会社。以下同じ。)が実施要領を定めて行う。ただし、教育及び訓練の実施、適性、知識及び技能の確認の管理を当該係員が行う場合は、他の者にこれを行わせることができる。

8 第5項の係員に対する教育及び訓練は、係員の管理のもとに他の者が行う教育訓練を含むものとする。

第2章 閉そく装置等

(閉そく装置)

第10条 鉄道には、列車間の安全を確保するために、運転方法に応じて閉そく装置を設けるものとする。ただし、スタフ閉そく式により運転を行う鉄道にあっては設けることを要しない。

第3章 鉄道信号の現示装置等

第1節 現示装置の構造、現示等の方法、配置の方法

(場内信号機、出発信号機、の構造等)

第11条 場内信号機、出発信号機は、図1の形状及び寸法のものであって、表1に掲げる信号を現示することができるものとする。

図1

三位色灯式

停止信号及び進行信号を現示するもの

停止信号及び注意信号を現示するもの

停止信号、注意信号及び進行信号を現示するもの

停止信号、警戒信号注意信号及び進行信号を現示するもの

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備考

1 寸法の単位は、ミリメートルとする。

2 Gは緑色灯、Yは橙黄色灯、Rは赤色灯とする。

3 灯の直径は、100ミリメートル以上とする。

4 灯の中心間隔は、200ミリメートル以上とする。

表1

現示の方式

信号の種類

三位式

色灯式

停止信号

赤色灯

警戒信号

上位橙黄色灯

下位橙黄色灯

注意信号

橙黄色灯

進行信号

緑色灯

(誘導信号機の構造等)

第12条 誘導信号機は、図2の形状及び寸法のものであって、表2に掲げる信号を現示することができるものとする。

図2

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備考

1 Yは橙黄色灯とする。

2 灯の直径は、90ミリメートル以上とする。

3 灯列式の灯の中心間隔は、250ミリメートル以上とする。

4 誘導信号機の灯と入換信号機の最下位灯との中心間隔は、250ミリメートル以上とする。

表2

信号の種類

現示の方式

色灯式

誘導信号

橙黄色灯

(入換信号機の構造等)

第13条 入換信号機は、図3の形状及び寸法のものであって、表3に掲げる信号を現示することができるものとする。

図3

二位灯列式

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備考

1 Wは白色灯とする。

2 灯の直径は、灯列式のものにおいては90ミリメートル以上とする。

3 灯列式の灯の中心間隔は、250ミリメートル以上とする。

表3

信号の種類

現示の方式

二位式

灯列式

誘導信号

灯列水平

進行信号

灯列左下向45度

(中継信号機の構造等)

第14条 中継信号機は、図4の形状及び寸法のものであって、表4に掲げる信号を現示することができるものとする。

図4

灯列式

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備考

1 Wは白色灯とする。

2 灯の直径は、灯列式のものにおいては90ミリメートル以上とする。

3 灯の中心間隔は、灯列式のものにおいては250ミリメートル以上とする。

表4

信号の種類

現示の方式

灯列式

主体の信号機が停止信号を現示するとき

停止中継信号

灯列水平

主体の信号機が警戒信号を現示するとき

制限中継信号

灯列左下向45度

主体の信号機が注意信号を現示するとき

主体の信号機が進行信号を現示するとき

進行中継信号

灯列垂直

(色灯式及び灯列式信号機の背板の色)

第15条 色灯式信号機及び灯列式信号機の背板の正面は、黒色とする。

(色灯信号機の機能)

第16条 警戒信号を現示する2灯の中心間隔は、600ミリメートル以上700ミリメートル以下で、2灯のうち1灯が消灯したときは、他の1灯も同時に消灯するものとする。

(進路表示器の表示)

第17条 進路表示機は、次の各号に定めるとおりにする。

(1) 進路表示機

 入換信号機用(単位ミリメートル)

3進路用

2進路用

本:本線

1・2:番線を示す

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(2機以上の常置信号機の配置の方法)

第18条 同一箇所に同一種類の常置信号機を2機以上設ける場合は、次に掲げるところによるものとする。

(1) 並列して設ける場合は、最も左側の線路に対する信号機は、最も左側に設け、順次右方の線路に対する信号機を設けること。

(2) 前号の場合において、最も主要な線路に対する信号機は、他の信号機より上位に設けること。

(2機以上の色灯式信号機の垂直設置の禁止)

第19条 2機以上の色灯式の信号機は、垂直に設けないものとする。

(2以上の進路がある信号機の設備方法)

第20条 場内信号機を設ける場合において、同一線路より進入させる列車の進路が停車場内に2以上あるときは、その進路毎に設けるものとする。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 運転の安全に関する条件が同等な隣接する線路の分岐箇所に設けた場合

(2) 当該場内信号機が現示する信号に係る進路を灯列、数字又は簡潔な記号若しくは文字により現示することができる進路表示器を附属させ、次の表の左欄に掲げる場内信号機の区分毎に、それぞれ同表右欄に掲げる進路に共用した場合

場内信号機

進路

1 発光ダイオード式の進路表示機を付属場内信号機

全部の進路

2 上記に掲げる場内信号機以外の場内信号機

次に掲げる進路

イ 終端となる線路にあっては、全部の進路

ロ 通過する列車のない停車場の線路又は通過する列車のある停車場の当該通過列車を走行させる線路以外の線路にあっては、3進路以内の進路

ハ 通過する列車のある停車場の当該通過列車を走行させる線路にあっては、2進路(出発信号機に対する通過信号機を設けた場合又は外方の常置信号機に進路予告機を設けた場合は、3進路)以内の進路

(誘導信号機の配置の方法)

第21条 列車等がある場内信号機又は入換信号機の防護区域内に合図によらないで他の列車等を進入させる箇所には、誘導信号機を当該場内信号機又は入換信号機の下位(信号附属機を設けた場合は、その下位)に設けるものとする。

2 誘導信号機は、場内信号機又は入換信号機毎に設けるものとする。この場合において、場内信号機又は入換信号機を同一箇所に2機以上設けたときは、進路表示機を附属させた誘導信号機を2以上の進路に共用することができる。

3 場内信号機の下位にある誘導信号機と入換信号機の下位にある誘導信号機は、共用しないものとする。

(誘導信号機の現示の方法)

第22条 誘導信号機は、誘導すべき列車等が場内信号機又は入換信号機の外方に、一時停止した後でなければ誘導信号を現示しないものとする。ただし、列車等が停止した後に誘導信号を現示したと同程度の安全を確保することができる装置を設けて誘導信号を現示するときは、この限りでない。

(入換信号機の設置方法)

第23条 入換信号機は、入換えを行う車両の進路毎に設けるものとする。ただし、同一線路により進入させる車両の進路が、2以上あるときで次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 運転の安全に関する条件が同等な隣接する線路の分岐箇所に設けた場合

(2) 進路表示機を附属させた場合

(中継信号機の配置の方法)

第24条 場内信号機、出発信号機の外方に中継信号機を設ける場合において、同一箇所に2機以上の場内信号機又は出発信号機を設けたときは、1機の中継信号機で2機以上の場内信号機又は出発信号機に共用することができる。

(中継信号機の現示の方法)

第25条 中継信号機は、その主体の信号機に、進行信号を現示する以前に進行中継信号を、さらに主体の信号機に警戒信号、注意信号を現示する以前に制限中継信号を現示しないものとする。

(進路表示機の配置の方法)

第26条 進路表示機は、主信号機と同一柱で、かつ、その下位に設けるものとする。ただし、場内信号機又は入換信号機に附属する進路表示機を誘導信号機に附属する進路表示機と共用する場合は、この限りでない。

(進路表示機の現示の方法)

第27条 進路表示機は、その附属している信号機に進行を指示する信号を現示する以前に、進路の現示をしないものとする。

(主信号機の設置)

第28条 主信号機(停止中の列車等に対して現示するものを除く。)は、当該信号機に接近する列車等がその現示する信号に従って減速し、又は停止することができる距離以上の地点から確認することができる位置に設置するものとする。ただし、従属信号機を設けた場合は、この限りでない。

(中継信号機の設置)

第29条 中継信号機は、これを確認することができる位置から主体の信号機までの距離が主体の信号機に接近する列車がその現示する信号に従って減速し、又は停止することができる距離以上となるように設けるものとする。

(特殊信号の種類と現示の方法)

第30条 特殊信号は、予期しない個所で特に列車を停止させる必要が生じたときに信号を現示するものとし、種類、現示の方法は、次のとおりとする。

(1) 特殊信号の種類は次による。

 発炎信号火炎により列車を停止させるもの

 発光信号灯により列車を停止させるもの

(2) 特殊信号による信号は停止信号とし、その現示の方法は次による。

 発炎信号 信号炎管による赤色火炎

 発光信号 明滅する赤色灯

(特殊信号の設置の場所等)

第31条 発炎信号及び発光信号を現示する装置は、接近する列車が当該列車の進路を支障する箇所までに停止することができる距離以上の地点から確認することができる位置に設ける。

(特殊信号機の形状等)

第32条 特殊信号発光機の形状は、次に掲げるとおりとする。


点滅形(1灯交互)

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回転形

点滅形

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第2節 現示装置の設置の方法、制御の方法

(場内信号機の設置)

第33条 次に掲げる箇所には、場内信号機を設けるものとする。

(1) 停車場に列車を進入させる線路(転てつ器がないもの及び当該線路の転てつ器が常時鎖錠されたものであるものを除く。)

(2) 前号に掲げる箇所のほか、閉そく区間の境界点にある停車場に列車を進入させる線路(場内信号機を設けるべき位置に閉そく信号機を設けたものを除く。)

2 場内信号機は、次に掲げる位置に設けるものとする。ただし、場内信号機が停止信号を現示した時にその外方の主信号機に警戒信号を現示する設備を設けた場合又は場内信号機の信号と連動して自動的に列車を停止させることができる装置を設けた場合は、この限りでない。

(1) 場内信号機を設けた場合にその防護区域となる区域の最外方にある対向転てつ器(安全側線用のものを除く。)のトングレールから外方へ100メートル以上隔てた位置

(2) 場内信号機を設けた場合にその場内信号機の防護区域となる区域の最外方にある背向転てつ器又は線路の交差に附帯する車両接触限界から外方へ100メートル以上隔てた位置

(3) 列車の停止区域から外方へ100メートル隔てた位置

3 前項の離隔距離は、地形の状況等によりやむをえない場合は、次の表の左欄に掲げる列車の駅間最高速度毎に、それぞれ同表右欄に掲げる離隔距離まで減ずることができる。

列車の駅間最高速度(単位 キロメートル毎時)

離隔距離(単位 メートル)

65未満

40

65以上85未満

60

(出発信号機の設置)

第34条 停車場から列車を進出させる線路には、出発信号機を設けるものとする。ただし、次のいずれかに該当する線路にあっては、この限りでない。

(1) 転てつ器がない線路

(2) 当該線路の転てつ器が常時鎖錠されたものである線路

(3) 当該線路の転てつ器が転てつ器標識を設けた背向のもの又は発条転てつ器である線路(スタフ閉そく式を施工する区間におけるものに限る。)

2 出発信号機は、次に掲げる位置に設けるものとする。

(1) 列車の停止位置の前方

(2) 出発信号機を設けた場合にその出発信号機の防護区域となる区域の最外方にある対向転てつ器のトングレールから外方

(3) 出発信号機を設けた場合にその出発信号機の防護区域となる区域の最外方にある背向転てつ器又は線路の交差に附帯する車両接触限界から外方

3 前項の位置に出発信号機を設けることができない場合は、同項の規定により出発信号機を設けなければならない位置に列車停止標識を設けたときに限り、その位置の前方に設けることができる。

(警戒信号の現示)

第35条 列車が停車場に進入し、又は停車場から進出するに当たり、過走による相互支障を生ずるおそれがある区間の始端にある主信号機の外方の主信号機には、警戒信号の現示設備を設けるものとする。ただし、当該区間の始端にある主信号機の信号と連動して自動的に列車を停止させることができる装置を設けた場合のほか、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

(1) 当該区間の始端にある主信号機の内方に安全側線を設けた場合

(2) 当該区間の始端にある主信号機(列車停止標識を設けた場合は、当該列車停止標識)から車両接触限界又は対向転てつ器(安全側線用のものを除く)のトングレールまでの線路長が100メートル以上ある場合

第3節 合図器及び標識

(合図器等の種類)

第36条 合図器等の種類は、次によるものとする。

(1) 列車等の移動を禁止する必要のあるときに、必要により移動禁止合図器を設ける。

(標識の種類)

第37条 標識の種類は、次によるものとする。

(1) 入換信号機、入換誘導信号機又は入換標識によらないで入換を行う転てつ器には、転てつ器標識を設ける。

(2) 出発信号機を設けていない線路又は出発信号機を所定の位置に設けることができない線路で、列車を停止させる限界を表示する必要がある箇所には、列車停止標識を設ける。

(3) 車両を停止させる限界を表示する必要がある箇所には、車両停止標識を設ける。

(4) 線路の終端を表示する必要がある線路には、車止標識を設ける。

第4章 連動装置等

(連動装置の設置)

第38条 本線及び本線を支障する側線の線路の交差又は分岐する箇所(常時鎖錠された転てつ器を設置する箇所を除く。)には、連動装置を設けるものとする。

(連動装置における連鎖)

第39条 連動装置は、次の基準に適合するものとする。

(1) 主信号機の進路及び過走余裕距離の一部又は全部を共用する場合並びに当該進路又は過走余裕距離が平面交差する場合には、当該信号機相互間を連鎖させるものであること。

(2) 主信号機とその進路内及び過走余裕距離内の転てつ器(常時鎖錠された転てつ器及び発条転てつ器を除く。)との間を連鎖させるものであること。

(転てつ器の鎖錠)

第40条 本線及び重要な側線における転てつ器は、機械的に鎖錠することができるものとする。

第5章 自動列車停止装置

(自動列車停止装置の設置)

第41条 閉そくによる方法により列車を運転する場合は、信号の現示に応じ、自動的に列車を減速させ、又は停止させることができる自動列車停止装置を設けること。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 他の線区に接続されていない線区において、同時に2以上の列車が運行しない場合

(2) 停車場間を1閉そく区間で、行き違いを行う停車場において列車の過走及び列車の誤出発による列車の衝突を防止するための安全側線を設けている場合

(3) 信号の現示が停車場間の閉そくの状態を示すことができない単線区間で、列車の過走による衝突を防止するための措置が講じられている場合

2 閉そくによる方法により列車を運転する場合は、線路の条件に応じ、自動的に列車を減速させ、又は停止させることができる自動列車停止装置を設けること。

(自動列車停止装置の機能)

第42条 前条第1項の規定により設ける自動列車停止装置は、次の基準に適合するものとすること。

(1) 主信号機が停止信号機を現示している場合において、所要の位置において列車のブレーキ操作が行われないときに自動的に当該信号機の外方に当該列車を停止させるものとすること。

(2) 単線区間に設ける自動列車停止装置は、次の基準に適合するものとすること。

 出発信号機が停止信号を現示している場合において、当該信号機の外方に停止している列車が当該信号機の内方に進入したときに、自動的に当該信号機の防護区域の最外方の車両接触限界までに列車を停止させるものであること。

2 前条第2項の規定により設ける自動列車停止装置は、次の各号に掲げる場合において、所定の位置において一定の速度を超える速度で列車が走行しているときに、列車の速度を自動的に当該速度制限箇所、停止限界箇所等の手前までに安全上支障のない速度まで減速させ、又は停止させる機能を有するものであること。

(1) 曲線区間に進入しようとする列車が、運転可能速度(駅間最高速度。ただし、手前において速度を制限する装置が設置されている場合や、終端駅等で列車が必ず停止している場所から出発する場合には、その条件から通常の運転で到達しうる速度とする。以下、この項において同じ。)で当該区間に進入したときに曲線外側への転覆のおそれのある場合

(2) 分岐器区間に進入しようとする列車が、運転可能速度で当該分岐器の分岐側に進入したときに転覆のおそれのある場合

(3) 速度を制限している構造物区間に進入しようとする列車が、運転可能速度で当該区間に進入したときに、当該構造物の変形等により脱線等のおそれのある場合

(4) 線路終端部に進入しようとする列車が、運転可能速度で当該線路終端部に進入したときに、当該線路終端部を行き過ぎるおそれのある場合(緩衝機能付車止め装置等が設置されている場合は、当該緩衝機能の性能の範囲内の速度まで減速できないおそれのある場合)

(5) 駅を通過する列車と停車する列車の別により踏切遮断機の動作の開始時期を変えている踏切道において、駅に停車すべき列車が運転可能速度で誤って駅を通過してしまったときに、踏切遮断機の遮断動作が終了していない踏切道に進入するおそれのある場合

(6) 下り勾配区間を走行中の列車が、下り勾配により加速し運転可能速度を超えることにより前各号のおそれのある場合又は停止信号(信号の制御方式が重複式である場合は、重複区間の終端)の内方に進入するおそれのある場合

3 前項の機能を当該規定の施行時の設備を活用して達成しようとする場合においては、前項の規定にかかわらず、設備の更新までの間は、可能な範囲で機能を満たすよう努めることで足りる。この場合において、設備の更新の際には前項に規定する機能に適合させるものとする。

(自動列車停止装置の詳細機能)

第43条 自動列車停止装置は、地上子により制御されるものとし、次の各号に定める条件を備えるものとする。

(1) 主機能 信号現示に連動して列車を停止させるものを主機能といい、次の機能があるもの。

 列車が停止信号を現示している信号機の外方に設けた地上子(主機能用)を通過すると、色及び音により警報を発し、警報約5秒経過すると自動的にブレーキが作用するものとする。ただし、約5秒以内にブレーキハンドルを定められた位置に移動し、確認ボタンを押すことにより、ブレーキは自動的に作用しないもの。

 列車等が線路終端外方に必要により設けた地上子を通過すると、色及び音により警報を発し、5秒以内に確認扱いを行いブレーキ扱いを行うと自動ブレーキが作用しないもの(警報後約5秒経過すると自動的にブレーキが作用するもの。)

 列車等が、線路終端に必要により設けた地上子を通過すると、色及び音により警報を発すると同時に、自動的にブレーキが作用し、確認ボタン扱いを無効とするもの。

 列車等が速度制限箇所に設けた地上子(速度照査用)を定められた速度以上で通過すると、色及び音により警報を発すると同時にブレーキが作用し、確認ボタン扱いを無効とし、線路終端までに停止又は過走した列車等の被害を最小限にする速度まで、列車等の速度を低下させるもの。

(2) 補足機能 信号現示に連動し、必要により自動列車停止装置の主機能を補足する機能をいい、次の機能があるもの。

 列車が停止信号を現示している場内信号機又は出発信号機及び車両が停止信号を現示している入換信号機に対して、その外方原則として20mの位置に設けた地上子(信号機直下用)を通過すると、色及び音により警報を発すると同時に自動的にブレーキが作用し、確認ボタン扱いを無効とするもの。ただし、誘導信号機の信号現示により場内信号機付近又は入換信号機付近に設けた地上子を通過する場合は、この限りでない。

第6章 列車検知装置

(列車検知装置の機能)

第44条 運転保安設備に使用する列車検知装置は、誘導作用等により障害を防止することにより、列車等を確実に検知できるものとする。

(軌道回路の機能)

第45条 軌道回路による列車検知装置は、次の基準に適合するものとする。

(1) 列車等の輪軸によるレール間の短絡により検知するものであること。

(2) 閉電路式であること。ただし、軌道回路に障害が発生した場合に列車等の運転の安全に支障を及ぼすおそれのないように当該軌道回路により制御される設備を設けた場合は、この限りでない。

(3) 隣接する軌道回路の電流、帰線電流等の電流による障害が発生するおそれのないものであること。

(4) 主信号機の防護区域の始端にある分界点の位置は、当該信号機の位置と一致させるように設けること。ただし、やむを得ない理由のある場合は、当該信号機の内方9メートル以内、外方2メートル以内の位置に設けることができる。

(5) 主信号機の防護区域の始端にある分界点を次に掲げる範囲に設けていないものであること。ただし、地理的な条件によりこれによれない場合にあっては、連動装置の連鎖機能を追加する等別に衝突防止の措置をした場合に限り、これによらないことができる。

 転てつ器がある場合は、そのトングレールからその転てつ器に附帯する車両接触限界までの範囲及びその前後2メートル以内の範囲

(軌道回路以外の列車検知装置の機能)

第46条 軌道回路によらない列車検知装置は、次の基準に適合するものとする。

(1) 他の区間にある列車等を検知するおそれのないものであること。

(2) 主信号機の防護区域の始端にある分界点の位置は、当該信号機の位置と一致させるように設けること。ただし、やむを得ない理由がある場合は、次に掲げる位置に設けることができる。

 当該信号機の内方にあっては、走行する車両のうちその長さが最小のものの長さ以内の位置

 当該信号機の外方にあっては、走行する車両のうちその先端から車上設備までの長さが最小のものの長さ以内の位置

第7章 保安通信設備

第1節 保安通信設備

(運転専用電話の設置)

第47条 停車場の保安上又は運転上必要な箇所の相互間には、迅速に連絡通報することができる以下の運転専用電話を設けるものとする。

(1) 運転指令電話 運転指令と主要な停車場の間において、一斉又は個別に、呼び出し通話ができるもの。

(2) 駅間直通電話 閉そくの取り扱い又は列車の運転方向を打ち合わせる停車場相互間において、呼び出し通話ができるもの

(運転専用電話の専用の回線)

第48条 前条の運転専用電話は、専用に使用できる回線を有すること。

(沿線電話の設置)

第49条 鉄道の沿線には、運転指令又は停車場と連絡通話のできる沿線電話機を設けるものとする。

(連絡用高声電話機の設置)

第50条 無線通信設備を使用しないで車両の入換合図を行う停車場には、連絡用高声電話機を設けるものとする。

(無線通信設備の機能)

第51条 無線通信設備を設ける場合は、次の各号のとおりとする。

(1) 列車無線装置

 運転指令と列車等の間で、直接電話ができるものであること。

 通信方式としては、単信方式とする。

第2節 架空通信線の施設

(架空通信線の高さ)

第52条 架空通信線の高さは、次の基準に適合するものとする。

(1) 鉄道又は軌道を横断する場合にあっては、レール面上6メートル以上とすること。

(2) 道路上に設ける場合にあっては、道路面上5メートル以上とすること。ただし、交通に支障を及ぼすおそれの少ない場合その他特別の事由があるときは、その高さを4.5メートル(車道と歩道とが区別されている道路の歩道上にあっては、2.5メートル)まで減ずることができる。

(保安装置の設置)

第53条 架空通信線に接続する電話機の設置箇所には、他の電線との混触障害、雷害等に対する保安装置を設けるものとする。

第8章 踏切保安設備

第1節 踏切警報機及び踏切遮断機の構造等

(踏切遮断機及び踏切警報機の設置)

第54条 踏切保安設備は、踏切遮断機及び踏切警報機を備えたものとする。ただし、列車が130キロメートル毎時以下の速度で通過する踏切道であって、鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切遮断機を設置することが技術的に著しく困難な場合は踏切警報機を備えたものであればよい。

(踏切警報機の設置基準)

第55条 踏切警報機は、次の基準に適合するものとする。

(1) 線路の両側において、通行者に警報を発するものとする。

(2) 踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、この限りでない。

(3) 2個以上の赤色せん光灯を設けること。

(4) 前号の赤色せん光灯は動作中交互に点滅すること。

(5) 第3号の赤色せん光灯は、見通し距離が45メートル(地形上等により道路を通行する自動車等が35キロメートル毎時を超える速度で接近することができない踏切道にあっては、22メートル)以上であること。

(6) クロスマークを設けること。

(7) 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。

(8) 警音を発する装置を設けること。

(9) 2以上の線路に係る踏切道にあっては、列車進行方向指示器を設けること。

(10) オーバーハング型警報装置にあっては、赤色せん光灯を踏切道における車道面上の有効高さが、4.5メートル以上になるように設置すること。

(踏切遮断機の設置基準)

第56条 踏切遮断機は、次の基準に適合するものとする。

(1) 線路の両側において、踏切道の通行をその幅員の全体にわたり遮断するものであること。

(2) 踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、この限りでない。

(3) 遮断かんは、次に掲げるところによること。

 遮断時には、道路面上0.8メートルの高さ(二段型遮断装置の上側の遮断かんにあっては、下側の遮断かんの上方)において水平となることを標準とすること。

 遮断時以外には、道路面上の有効高さが4.5メートル以上となること。

 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。

 2個以上の赤色灯又は赤色の反射剤を通行者から見やすい位置に設けること。

 大型遮断装置の遮断かんにあっては、遮断時に踏切道における車道を遮断する部分の鉛直方向の長さは、0.1メートル以上であること。

(第1種踏切道の機能)

第57条 踏切遮断機及び踏切警報機を設備した踏切道(第1種踏切道)における踏切保安設備は、次に掲げるところにより動作するものとする。

(1) 列車等の接近により自動的に動作を開始するものであること。

(2) 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。

(3) 警報の開始から遮断動作の終了までの時間は、15秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、10秒以上であること。

(4) 警報の開始から遮断動作の開始までの時間は、通行者の通行に支障を及ぼすおそれのないものであること。この場合において、道路の両側に遮断かんを設けたものにあっては、踏切道に向かって右側の遮断装置は、踏切道に向かって左側の遮断装置の遮断動作が終了した後に遮断動作を開始するのを原則とする。

(5) 遮断動作の終了から列車等の到着までの時間は、20秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、15秒以上であること。

(6) 列車及び車両毎の警報の開始から到着までの、当該列車等の速度等により大きく異なるものでないこと。

(7) 列車等の通過後に遮断状態を解除する動作を開始するものであること。

(8) 列車等の過走により支障を生ずるおそれのある踏切道にあっては、当該列車等が過走により踏切道に到達する前に余裕を持って遮断動作を施有料するものであること。

(踏切遮断機及び踏切警報機の故障時の措置)

第58条 踏切道に設けた自動の踏切遮断機又は踏切警報機に故障が発生したことを認めたときは、その踏切道に係員を配置し、又はその他の方法により通行人に注意を与える措置を講ずるものとする。

第2節 踏切支障報知装置の構造等

(踏切支障報知装置の設置基準)

第59条 踏切保安設備は、列車の速度、鉄道及び道路の交通量、通行する自動車の種類等を考慮し、必要な場合には、自動車が踏切道を支障したときにこれを列車等に知らせることができるものとする。

(踏切支障報知装置の構造)

第60条 踏切支障報知装置は、次の基準に適合するものとする。

(1) 発炎信号、発光信号を現示する装置(以下「現示装置」という。)を設けたものであること。

(2) 操作装置により現示装置を動作させることができるものであること。

(3) 発炎信号の信号炎管その他の現示装置の重要部分は、多重化したものであること。

(4) 発炎信号を現示する装置を設けた踏切支障報知装置にあっては、近接する主信号機に停止信号を現示するもの、停止を指示する制御情報を示すもの又は列車等の接近により再び発炎信号を現示するものであること。

(踏切支障報知装置の操作装置の構造)

第61条 前条第2号の操作装置は、次の基準に適合するものとする。

(1) 線路の両側に押しボタン、開閉器等のスイッチを設けること。ただし、単線に係る幅員の狭い踏切道にあっては、線路の片側の操作スイッチを省略することができる。

(2) 前号の操作スイッチは、次に掲げるところによることとする。

 踏切道付近であって容易に取り扱うことができる箇所に設けること。

 双子接点を有するもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。

 保留機能を有するものであること。

 夜間においても容易に識別することができるものであること。

 取扱方法を明示したものであること。

(3) 復帰スイッチを設けること。

(4) 前号の復帰スイッチは、係員以外の者が容易に操作することができないものであること。

第9章 障害発生時の安全確保

(障害発生時の安全確保)

第62条 運転保安設備は、電気機器及び回路の特性に応じ、その機能に障害が発生した場合においても列車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれのない機能を有するものとする。

第10章 信号通信設備の保全

第1節 保全に関する用語の意義

(用語の意義)

第63条 本章における用語の意義は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 「保全」とは、設備の機能維持を能率よく行うこと及び設備が機能を失った場合の機能回復を的確に行うこと並びに設備に対し信頼度向上のための不断の改善強化を行うことをいう。

(2) 「処置」とは、設備の機能が失われた場合又は機能が正常かつ安定した状態を失うおそれのある場合に、その機能を再び安定した状態に戻すための取替え、補修、調整、補給等の適切な手当を行うことをいう。

(3) 「検査」とは、設備の劣化の程度及び変化の状態を実地に調査し、その機能を正常かつ安定した状態に維持するための処置を行う必要の有無の判定を行い、必要により同時に処置を行うことをいう。

第2節 保全及び事故時等の処置

(保全の種類)

第64条 保全の種類は、次の各号に定めるとおりとする。

(1) 予防保全 設備の機能が失われるおそれのあることを有効な方法により検出して、その前に処置を行うことを目的とする保全で、主に機能停止が運転に直接影響を与えるもの及び接客営業面に重大な支障を与えるものに対して行う。

(2) 事後保全 設備の機能が失われてから処置を行うことを原則とする保全で、主に機能停止が運転に直接影響を与えないもの及び接客営業面に重大な支障を与えないものに対して行う。

(信号通信設備の保全)

第65条 信号通信設備は、正確に動作することができる状態に保持するものとする。

(運転保安設備の定期検査)

第66条 運転保安設備については、別表に掲げる設置場所毎の、同表に掲げる設備の種類に応じ、検査基準日(検査を行うべき時期を決定する基準となる日として、設備の性質(設備が気象状況の影響を受ける度合い等)の事情を勘案して個々の設備又はその部分毎に定める日をいう。次項及び第3項において同じ。)から起算して、それぞれ同表に掲げる基準期間を経過した日の属する月(基準期間が1年未満の設備にあっては、基準期間を経過した日。以下この項において「基準期間経過月日」という。)又は基準期間経過月日のそれぞれ前後同表に掲げる許容期間内に定期検査を行わなければならない。

設備の種類

基準期間

許容期間

閉そくを確保する装置、列車間の間隔を確保する装置、鉄道信号の現示装置、信号相互間等を連鎖させる装置、列車を自動的に減速又は停止をさせる装置、その他の重要な運転保安設備

1年

1月

前欄に掲げる運転保安設備以外の運転保安設備

2年

1月

2 前項の検査基準日は、正当な理由がある場合には、変更することが出来る。正当な理由がある場合とは、設備の大規模改良工事を行う場合等であって、当該設備又はその部分毎に定められた変更前の検査基準日から起算した検査の周期を超えない範囲で、定期検査と同等以上の検査を実施する場合には変更することができる。

3 次の各号に規定する場合には、第1項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。

(1) 設備の状態その他の事情(使用年数、使用の状況、周辺の気象状況及び構造等)を勘案して、第1項に規定する検査の周期を短縮する必要があると認められるときは、個々の設備又はその部分毎に、別表に掲げる基準期間の範囲内で、適切な期間(設備の性質その他の事情により検査を行う時期が限られる設備にあっては、検査に適した時期を勘案したもの。以下同じ。)を定め、定期検査を行わなければならない。この場合の検査の周期には、検査基準日から起算して、当該期間を経過した日の属する月(当該期間が1年未満の設備にあっては、当該期間を経過した日。以下同じ。)の前後それぞれ次の表に掲げる期間の範囲内で、別表に掲げる許容期間に準じた期間を含めることができる。

別表に掲げる基準期間の範囲内で定める適切な期間

別表に掲げる許容期間に準じた期間

1年以上

1月

6月以上1年未満

30日

6月未満

14日

(2) 次の及びに掲げるものにあっては、個々の設備又はその部分毎に、別表に掲げる基準期間を超えて適切な期間を定め、定期検査を行うことができる。この場合の検査の周期には、検査基準日から起算して、当該期間を経過した日の属する月の前後それぞれ次の表に掲げる期間の範囲内で、別表に掲げる許容期間に準じた期間を含めることができる。

 運転保安設備に故障が発生し、又は故障の疑いがある場合に、当該運転保安設備の予備装置が自動的に動作する等の機能を備えたもの。

 電子化され、又は密閉化された機器及び定期的に交換することによって機能を維持する機器であって、機器の機能が別表に掲げる基準期間以上に確保されるもの。

別表に掲げる基準期間を超えて定める適切な期間

別表に掲げる許容期間に準じた期間

1年以上

1月

6月以上1年未満

30日

6月未満

14日

(検査の延期)

第67条 前条に基づき検査を行わなければならないときにおいて、悪天候等特別な事由により検査を行うことができない場合には、その事由が終了するまでは検査を延期することができるものとする。

(定常状態監視装置のデータの収集)

第68条 定常状態監視装置により監視している設備の定期検査に関するデータは、当該検査期間毎に収集するものとする。

(新設等を行った設備の検査)

第69条 新設、改造又は修理した設備は、これを検査し、動作確認など、設備の機能確認及び安全性確認を行ってから使用するものとする。

(検査の結果、異常を認めたときの処置)

第70条 検査において、設備の機能が正常な安定した状態を失うおそれがあると認められた場合は、回復、調整、取替又は使用停止等必要な応急処置を行うものとする。

(記録)

第71条 定期検査並びに新設、改造及び修理を行った際の検査の結果は、その年月日及び成績を記録し、5年間保管するものとする。

(災害、事故時の処置)

第72条 災害及び事故が発生した場合は、その原因を調査し速やかにその機能の回復に努めなければならない。ただし、錯誤信号事故が発生し、その原因が設備に関係するか、又は、その疑いのある場合は、努めて設備を現状のままとし、直ちにその設備の使用を停止するものとする。

2 災害及び事故が回復するまでの間、必要により設備の使用停止の範囲を定めるものとする。

3 災害及び事故が回復した場合並びに使用を休止した設備で列車等を運転する場合はあらかじめ当該設備を検査し、動作確認など、設備の機能確認・安全性確認を行ってから使用するものとする。

第3節 資料等の整備

(図・統計資料等の整備)

第73条 保全業務に必要な図表、統計等の資料は、整備しておくものとする。

(要注意設備の把握)

第74条 設備管理及び傷害事故防止上注意を要する設備箇所を把握し、積極的に改善を行うとともに、関係者に周知徹底を図るものとする。

(環境変化の把握)

第75条 設備の環境変化を常に把握して設備管理を行うとともに、これによる事故防止に努めるものとする。

(検査用具等の整備)

第76条 計測器、工具、保護具、機動力等を点検し、常に整備しておくものとする。

(予備機器、非常用資材の整備)

第77条 予備機器及び非常用資材の保管場所を定め、整備しておくものとする。

この実施基準は、平成25年4月1日から施行する。

別表(第66条関係) 信号通信設備検査方法(信号)

設備名

検査周期

検査項目

記事

信号装置

電気信号機(進路表示器含む)

1年

1 取付、設備状態の良否

2 汚損、損傷の有無

3 注油

4 環境の良否


必要の都度

1 信号灯端子電圧の測定

2 見通し距離の適否

3 絶縁抵抗の測定

4 現示条件検査

5 建築限界及び相互間隔の適否


転てつ装置

電気転てつ機

1年

1 密着状態の良否

2 転換状態の良否

3 ロックの良否

4 取付設置状態の良否

5 汚損、損傷、腐食の有無

6 注油、清掃


2年

1 動作電圧、電流の測定

2 電動機の滑り電流の測定

(フリクションクラッチを有するものに限る)

3 トングレールの開口時における表示回線構成の適否


必要の都度

1 動作時分の測定

2 密着度の測定

3 絶縁抵抗測定

4 制御及び表示機能の試験


転てつ転換鎖錠装置

1年

1 ロックの良否

2 密着状態の良否

3 転換状態の良否

4 取付設置状態の良否

5 汚損、損傷、腐食の有無

6 注油、清掃


2年

1 トングレールの先端の開口とリバー位置の適否

2 スイッチアジャスターと調整範囲の適否

3 エスケープクランクローラとの相互位置の適否

4 転換機のロックロット及びブランジャー関係位置の適否

5 回転角度の適否


必要の都度

1 密着状態の測定


連動装置

継電連動機

1年

1 てこ、押しボタンの状態の良否

2 取付、設備状態の良否

3 汚損、損傷の有無


必要の都度

1 動作機能の良否

2 端子電圧、電流の測定

3 絶縁抵抗の測定

4 配線等の良否

5 条件検査


電気鎖錠器

1年

1 動作状態の良否

2 取付、設備状態の良否

3 汚損、損傷の有無

4 環境の良否

5 注油、清掃

6 踏ボタン動作の良否

7 接点汚損損傷の有無

8 端子弛緩の有無


必要の都度

1 てこと鎖錠片の関係測定

2 絶縁抵抗の測定

3 条件検査


電源装置

絶縁トランス小型変圧器類

1年

1 取付、設備状態の良否

2 汚損、損傷の有無

3 端子弛緩の有無


必要の都度

1 電圧の測定

2 絶縁抵抗の測定


整流器

1年

1 取付メーター類の指示値の良否

2 取付、設備状態の良否

3 汚損、損傷の有無

4 環境の整備、清掃


2年

1 電圧指示値の適否

2 入出力電圧、電流の測定


必要の都度

1 絶縁抵抗の測定


蓄電池

1年

1 電圧、比重及び液面の良否

2 取付、設備状態の良否

3 汚損、損傷の有無

4 環境の整備、清掃


必要の都度

1 充放電電圧の測定


発動発電機

1年

1 取付メーターの指示値の良否

2 動作状態の良否

3 温度の良否

4 回転音の良否

5 切替運転の良否

6 起動状態の良否

7 燃料油、オイルの良否

8 取付、設置状態の良否

9 汚損、損傷の有無

10 環境の良否

11 注油、清掃


2年

1 出力電圧、電流の測定

2 周波数の測定

3 回転数の測定


必要の都度

1 接地抵抗の測定

2 絶縁抵抗の測定

3 吸排気弁調整の適否


軌道回路

交流軌道回路

1年

1 絶縁物の良否

2 ボンド類取付状態の良否

3 ジャンパー線クロスボンドの良否


2年

1 入出力電圧の測定

2 送受電レール電圧の測定

3 短絡及び平常電流の測定

4 交流軌道リレーの局部電圧及び位相の測定


必要の都度

1 軌道トランス及び中継トランスの1次2次電圧の測定

2 限流装置端子電圧の測定

3 短絡電流の測定

4 軌道短絡感度及び残留電圧の測定

5 軌道回路極性の適否

6 絶縁抵抗の測定

7 軌道回路照合


直流軌道回路

1年

1 絶縁物の良否

2 ボンド類取付状態の良否

3 ジャンパー線クロスボンドの良否


2年

1 軌道リレー電圧の適否

2 送受電レール電圧の測定


必要の都度

1 短絡及び平常電流の測定

2 限流装置端子電圧の測定

3 短絡電流の測定

4 軌道短絡感度及び残留電圧の測定

5 軌道回路極性の適否

6 絶縁抵抗の測定

7 軌道回路照合


標識装置

標識類

1年

1 取付、設備状態の良否

2 汚損、損傷の有無

3 注油

4 環境の良否


必要の都度

1 見通し距離の適否

2 建築限界の適否


信号線路

信号線路(器具箱類を含む)

2年

1 取付、設備状態の良否

2 汚損、損傷の有無

3 環境の良否


必要の都度

1 接地抵抗の測定

2 建築限界の適否


踏切保安装置

踏切警報機(踏切制御子、車輪検出器含む)

1年

1 動作状態の良否

2 取付、設備状態の良否

3 汚損、損傷の有無

4 環境の良否

5 注油、清掃


2年

1 警報音の適否

2 警報灯断続数の測定

3 電源電圧の測定(制御子)

4 制御区間長の測定

5 リレー端子電圧の測定

6 送受電端電圧の測定

7 入出力電圧の測定


必要の都度

1 見通し距離の適否

2 絶縁抵抗の測定

3 電球端子電圧の測定

4 相互干渉の適否

5 発信出力特性の適否

6 警報時分の測定

7 短絡感度の測定

8 機能確認


踏切遮断器

1年

1 動作状態の良否

2 電動子ブラシと整流子面の良否

3 取付、設置状態の良否

4 汚損、損傷の有無

5 環境の良否

6 注油、清掃


2年

1 動作及び滑り電流の測定

2 回路制御器動作の適否

3 動作時分の測定

4 電源電圧の測定

5 停電状態における腕降下時分の測定


必要の都度

1 絶縁抵抗の測定

2 油量の確認

3 機能確認


踏切警報装置操作器

1年

1 取付、設備状態の良否

2 汚損、損傷の有無

3 環境の良否

4 注油、清掃


2年

1 押しボタン動作状態の適否

2 取扱表示灯点灯の良否


必要の都度

1 見通し距離の適否

2 絶縁抵抗の測定


表示装置

特殊信号発光機

1年

1 動作状態の良否

2 取付、設備状態の良否

3 汚損、損傷の有無

4 環境の良否

5 注油、清掃


2年

1 電源電圧の測定


必要の都度

1 見通し距離の適否

2 絶縁抵抗の測定

3 灯回転数の測定


自動列車停止装置

自動列車停止装置

1年

1 取付、設備状態の良否

2 汚損、損傷の有無

3 環境の良否

4 注油、清掃


2年

1 共振周波数及びQの測定

2 電源電圧の測定


必要の都度

1 取付位置の適否

2 絶縁抵抗の測定


甲賀市運転保安設備実施基準

平成25年4月1日 訓令第7号

(平成25年4月1日施行)

体系情報
第8編 市民生活/第4章 交通対策
沿革情報
平成25年4月1日 訓令第7号