○甲賀市議会議員政治倫理条例
平成30年12月28日
条例第44号
甲賀市議会が目指している市民に開かれた議会づくりは、議員に対する市民の揺るぎない信頼があって初めて実現できるものである。
そのためには、議員は市民の代表であることを自覚し、市民の負託に応え得る強い使命感と自ら考える明確な政治倫理基準に基づき、誇りと自信をもって市政を担いつつ、説明責任を果たしていくことが必要である。
ここに甲賀市議会は、議員と市民との信頼関係を築く基盤として、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、甲賀市議会議員(以下「議員」という。)が議員活動を行う際に遵守すべき政治倫理に関する基本事項について、甲賀市議会基本条例(平成25年甲賀市条例第33号)第19条の規定を補完する条例として定めることにより、市民全体の代表として高い倫理観が求められることを自覚し、良心及び責任感を持ってその責務を果たし、議員と市民との信頼関係を構築し、もって公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第2条 議員は、市民の負託を受けた代表である自覚及び品位の保持に努め、自らの行動を厳しく律し、公正な職務執行を妨げるいかなる不当な要求にも屈してはならない。
2 議員は、政治倫理に反する行為があるとの疑惑を持たれたときは、自ら率先して真摯かつ誠実に事実を明らかにし、その責任を明確にしなければならない。
(政治倫理基準等の遵守)
第3条 議員は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)、公職選挙法(昭和25年法律第100号。以下「公選法」という。)、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)等の公職にある者に対して適用される法律のほか、次に掲げる政治倫理の基準を遵守しなければならない。
(1) 常に市民全体の利益の実現及び福祉の向上を目指して行動すること。
(2) 市又は市が資本金その他これに準ずるものを出資している法人若しくは市の公の施設の管理を行う指定管理者(法第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)が行う許可又は請負その他契約に関し、特定の者のために有利又は不利な取扱いをするような働きかけをしないこと。
(3) 市から補助金等を受けている団体の役員(会長、副会長、理事長、副理事長、理事、監事及びこれらに準ずる者)には就任しないこと。
(4) 市の職員(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員をいう。)の採用、昇任、降任、転任その他の人事に関し、公正を害する行為をしないこと。
(5) 議員の地位を利用して嫌がらせをし、強制し、又は圧力をかける行為及びセクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメントその他の人権侵害のおそれのある行為をしないこと。
(6) 政治活動に関する寄附について、政治的又は道義的な批判をされるものは受けないこと。
(7) 公選法により禁止されている寄附、飲食物の供与その他不正行為に該当するとの疑惑を持たれるような行為はしないこと。
(8) 前各号に掲げるもののほか、市民全体の代表者として、その品位を損なう一切の行為を慎み、その責務に関し、不正の疑惑を持たれるような行為をしないこと。
(請負に関する制限)
第4条 議員は、議員の兼業禁止について規定する法第92条の2の趣旨を尊重し、議員の兼業について、市に対して行う請負その他の契約に関して不正の疑惑を持たれないように努めなければならない。
(審査請求)
第5条 議員は、第3条の規定に違反する疑いがあると認められる議員があるときは、甲賀市議会議員定数条例(平成21年甲賀市条例第49号)に規定する議員の定数の8分の1以上の者の連署をもって、議長に対し、同条に違反する疑いがあることを証する書類を添えて、別に定めるところにより審査請求することができる。この場合において、審査請求する議員の中から代表者を定めておかなければならない。
2 連署をする議員は、2以上の異なる会派(会派に所属しない議員も1会派とみなす。)に属する者で構成されていなければならない。
3 審査請求は、当該請求に係る行為のあった日から起算して1年以内に行わなければならない。ただし、議長が特別な事情があると認めたときは、この限りでない。
(審査会の設置等)
第6条 議長は、前条の審査請求があったときは、速やかに議会運営委員会に報告するとともに、当該請求を受理した日から1月以内に、甲賀市議会政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置し、当該事案についての審査を付託するものとする。ただし、審査請求書類の不備などの理由により、その必要がないと議長が認めるときは、この限りでない。
2 議長は、審査会を設置したときは速やかに、審査請求を行った議員(以下「審査請求者」という。)及び審査の対象となった議員(以下「審査対象議員」という。)に対し、その旨通知するものとする。
(審査会の組織)
第7条 審査会は、各会派(会派に所属しない議員が複数いる場合も1会派とみなす。)から1人の代表者をもって構成する。ただし、議長が特別の理由があると認めるときは、この限りでない。
2 審査会の委員(以下「委員」という。)は、議員のうちから議長が指名する。ただし、審査請求者及び審査対象議員は、委員となることができない。
3 委員の任期は、当該審査が終了するまでの間とする。
4 審査会に委員の互選により委員長及び副委員長を置く。
5 委員長は、会務を総理し、審査会を代表する。
6 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故あるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。
7 議長が審査対象議員に該当するときは、副議長がこの条例に関する議長の全ての職務を代理する。
(審査会の会議等)
第8条 審査会の会議(以下「会議」という。)は、委員長が招集するものとする。
2 審査会は、委員の3分の2以上が出席しなければ会議を開くことができない。
3 会議の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 会議は公開とする。ただし、委員長は会議に諮って非公開にすることができる。
5 審査会は、審査請求に関する調査を行い、必要があると認めるときは、審査請求者、審査対象議員、識見を有する者等に対し、会議への出席を求め、意見若しくは事情を聴取し、又は報告若しくは資料の提供を求めることができる。
6 審査請求者及び審査対象議員は、審査会から会議への出席の要請、審査に必要な資料の提出その他の協力を求められたときは、これに従い、かつ、誠実に応える義務を負う。
7 審査対象議員は、審査会において弁明をすることができる。
8 審査会は、公平かつ不偏の立場でその職務を遂行しなければならない。
(会議の記録)
第9条 会議の記録は、5年間保存する。
(その他審査会に関する事項)
第10条 前4条に定めるもののほか、審査会に関する事項は、甲賀市議会委員会条例(平成16年甲賀市条例第187号)に規定する委員会の例による。
(審査結果の議長への報告)
第11条 審査会は、当該審査請求の審査を終了したときは、速やかに、その結果を議長に書面をもって報告しなければならない。
(1) 戒告
(2) 陳謝の勧告
(3) 議会内での役職辞任の勧告
(4) 一定期間の出席自粛の勧告
(5) 議員辞職の勧告
(6) 前各号に掲げるもののほか、必要と認める措置
4 審査会は、議長への結果の報告をもって解散する。
(審査結果の議長からの報告及び通知)
第12条 議長は、前条第1項の規定により審査会から審査の結果の報告を受けたときは、速やかに審査の結果を議会運営委員会等に報告するとともに、審査請求者及び審査対象議員に対して通知しなければならない。
(審査請求の棄却)
第13条 議長は、審査会から棄却すべき旨の報告を受けたときは、当該審査請求を棄却する。
(陳述書の提出)
第14条 審査対象議員は、第12条に規定する通知を受けたときは、審査の結果について、議長に対し陳述書を提出することができる。
2 陳述書の提出は、審査の結果の通知を受けた日から2週間以内に行わなければならない。
(審査結果等の公表)
第16条 議長は、審査の結果を公表しなければならない。この場合において、第14条第1項に規定する陳述書が提出されたときは、陳述書の全部又は一部を合わせて公表するものとする。
(守秘義務)
第17条 委員は、審査請求に係る事案の審査において知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。
(留意事項)
第18条 この条例の運用に際しては、正当な政治活動を抑制することのないよう留意しなければならない。
(条例の見直し)
第19条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めたときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規程で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(適用区分)
2 第5条に規定する審査請求は、施行日以降に行われた議員の行為について適用する。
付則(令和2年条例第34号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。