○甲賀市男女共同参画を推進する条例
平成30年6月29日
条例第24号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 基本的施策(第9条―第23条)
第3章 男女共同参画審議会(第24条)
第4章 雑則(第25条)
付則
甲賀市は、人と人との結びつきや絆を大切にするとともに、全ての人の幸せを願い、個人として互いに尊重され、誰もが自分らしく生きることのできるまちを目指しています。
しかしながら、性別により役割を決めてしまう考え方や社会の慣習は今なお存在しており、職場や地域等の組織の意思決定過程において、女性の参画が少ない状況があるとともに、職業生活を希望する女性にとって、家庭生活との円滑かつ継続的な両立が困難な現状があります。
加えて、少子高齢化の進展や家族・地域社会の変化等、急速な社会や経済情勢の変化への対応も求められています。こうした状況を踏まえ、全ての人が安心して豊かに暮らしていくためにも、男女が様々な分野に共に参画し、責任を分かち合いながら、その個性と能力を十分に発揮し、チャレンジや活躍ができ、それらが認められる男女共同参画社会を実現することが重要です。
そこで、本市に関わる全ての人が協力し、主体的に男女共同参画社会を創るため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、市、市民及び企業等の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策(以下「推進施策」といいます。)の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とします。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいいます。
(2) ダイバーシティ 性別、人種等の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観等の多様な人々が互いの違いを尊重することをいいます。
(3) 積極的改善措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいいます。
(4) 市民 市内に在住、在勤又は在学する者をいいます。
(5) 企業等 市内において事業を営む法人(個人事業主を含みます。)及びその他団体をいいます。
(6) 区・自治会、自治振興会等 甲賀市まちづくり基本条例(平成28年甲賀市条例第11号)に規定する区・自治会及び自治振興会並びにその他市民活動を促進するために組織された団体をいいます。
(7) ワーク・ライフ・バランス 一人一人がやりがい、充実感等を享受しながら職業生活上の責任を果たすとともに、家庭生活、地域活動等においても、子育て期、中高年期等の人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できることをいいます。
(8) セクシュアル・ハラスメント 男女を問わず、性的な言動により当該言動を受けた個人の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与えることをいいます。
(9) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、恋人等親密な関係にある者又はあった者から振るわれる暴力行為(身体的、精神的、性的及び経済的に有害な影響を及ぼす言動)をいいます。
(10) 女性活躍 自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性及び能力を十分に発揮して職業生活において活躍することをいいます。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければなりません。
(1) ダイバーシティの実現を目指し、性別にかかわらず個人としての尊厳が重んじられること、性別による差別的な取扱いを受けないこと、個人として個性及び能力を発揮する機会が確保されることその他男女の人権が尊重されること。
(2) 性別による固定的な役割分担を反映した社会の制度及び慣行が、男女の社会における活動の選択を阻害することのないよう配慮されること。
(3) 男女が、社会の対等な構成員として、全ての団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、相互の協力及び社会の支援のもとに、子育て、介護その他家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすること。
(5) 男女が互いの性について理解を深め、妊娠又は出産に関する事項に関し双方の意思が尊重されること及び生涯にわたり健康な生活を営むことができるようにすること。
(6) 男女共同参画の推進が、国際社会における取組と密接な関係を有していることを理解し、国際的協調のもとに行われること。
(7) 職業生活における男女の不均衡を是正するとともに、家庭生活における男性の参画を推進し、女性活躍ができること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」といいます。)に基づき、推進施策(積極的改善措置を含みます。以下同じとなります。)を総合的に策定し、計画的に実施します。
2 市は、男女共同参画の推進に当たり、国、県その他地方公共団体との連携を図るとともに、市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等と協働して取り組むこととします。
(市民の責務)
第5条 市民は、男女共同参画について理解を深め、基本理念に基づき、あらゆる分野において、男女共同参画を推進するよう努めます。
2 市民は、市が実施する推進施策に協力するよう努めます。
(企業等の責務)
第6条 企業等は、男女共同参画について理解を深め、基本理念に基づき、男女共同参画を推進し、男女が事業活動に対等に参画する機会を確保するとともに、職業生活と家庭生活との両立ができるよう、ワーク・ライフ・バランスに取り組む等、職場の環境づくりに努めます。
2 企業等は、市が実施する推進施策に協力するよう努めます。
(性別による人権侵害の禁止)
第7条 何人も、あらゆる場において、性別による差別的な取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス等を行ってはなりません。
(市民等に広く表示する情報に関する留意)
第8条 何人も、市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等に広く表示する情報において、性別による固定的な役割分担、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス等を助長し、又は連想させる表現及び過度の性的な表現を用いないよう努めなければなりません。
第2章 基本的施策
(男女共同参画計画(女性活躍推進計画))
第9条 市長は、推進施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本となる甲賀市男女共同参画計画(甲賀市女性活躍推進計画)(以下「計画」といいます。)を策定します。
2 市長は、計画の策定又は重要な変更を行うに当たっては、あらかじめ第24条第1項に規定する甲賀市男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等の意見を反映することができるよう、必要な措置を講じます。
3 市長は、計画を策定又は変更したときは、これを公表します。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第10条 市は、男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策の策定及び実施に当たっては、男女共同参画の推進に配慮します。
(広報活動等の促進)
第11条 市は、男女共同参画についての理解を深めるため、市広報紙、市ホームページ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス等により広報活動、情報提供その他必要な措置を講じます。
(市民等の活動に対する支援)
第12条 市は、市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等が行う男女共同参画の推進に関する活動について、情報提供その他必要な支援を行います。
(相談への対応)
第13条 市は、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他男女共同参画の推進を阻害すると認められることに関し、市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等から相談があったときは、関係機関と連携し、適切な対応を行います。
(意見等への対応)
第14条 市は、市が実施する推進施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について、市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等から意見及び提言の申出を受けた場合は、適切に対応します。この場合において、市長は、必要があると認めたときは、第24条第1項に規定する甲賀市男女共同参画審議会の意見を聴くことができます。
(積極的改善措置)
第15条 市は、あらゆる分野における活動に当たり、男女間に参画する機会の格差が生じている場合は、市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等と協力し、積極的改善措置を講じるよう努めます。
2 市長その他執行機関は、附属機関の委員の任命及び委嘱に当たり男女間に参画する機会の格差が生じている場合には、積極的改善措置を講じるよう努めます。
3 市は、職業生活における男女の不均衡を是正し、女性活躍を推進するため、次に掲げる積極的改善措置を講じるよう努めます。
(1) 職業生活と家庭生活との円滑な両立が可能となるよう、保育及び介護を支援する環境の整備を図ること。
(2) 女性活躍を推進し、意思決定過程への参画拡大及び正規雇用として積極的な登用・育成を図るため、企業等に対する啓発活動、情報提供その他必要な措置を講じること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、女性活躍の推進を図ること。
(区・自治会、自治振興会等における男女共同参画の推進)
第16条 区・自治会、自治振興会等は、その活動を行うに当たって、男女共同参画の推進に取り組むよう努めます。
2 市は、前項に規定する区・自治会、自治振興会等における男女共同参画の推進を図るため、情報提供その他必要な支援に努めます。
(職場環境における男女共同参画の推進)
第17条 企業等は、職場環境における次に掲げる取組を推進します。
(1) 男女が個人として能力を発揮する機会の確保に関する取組
(2) 男女が職業生活と家庭生活との円滑な両立を図るための支援に関する取組
(3) セクシュアル・ハラスメントの防止に関する取組
2 市は、企業等の前項各号に掲げる取組を推進するため、情報提供その他必要な支援を行います。
3 市長は、男女共同参画の推進に必要があると認めるときは、企業等に対し、第1項の取組の状況について報告を求めることができます。
(教育、保育及び学習の推進)
第18条 社会のあらゆる分野で、教育、保育及び学習に携わる立場にある者は、男女共同参画の推進に果たす自らの役割の重要性を十分認識し、基本理念に基づいた教育、保育及び学習に努めます。
2 市は、性別による固定的な役割分担に捉われない多様な選択を可能にするための教育、保育及び学習を推進します。
(家庭生活、職業生活等の両立支援及び生涯を通じた男女の健康支援)
第19条 市は、男女が共に子育て、介護その他家庭生活における活動と職業生活、地域活動その他社会のあらゆる分野における活動との両立ができるよう、環境整備その他必要な支援を行います。
2 市は、女性が妊娠及び出産に関わる身体機能を持つことに配慮するとともに、男女の生涯にわたる健康の保持及び増進を図るため、健康相談、医療の充実その他必要な措置を講じます。
(被害者等への支援)
第20条 市は、第7条に規定する行為の被害者等に対し、関係機関と連携を図り、必要な支援に努めます。
(推進の体制)
第21条 市は、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、必要な体制を整備します。
2 市は、推進施策を実施し、市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等による男女共同参画の取組を支援するための環境整備に努めます。
3 市は、推進施策を実施するため、必要な財政上の措置を講じるよう努めます。
(調査研究等)
第22条 市は、推進施策を効果的に実施するために必要な情報の収集及び調査研究を行います。
(年次報告)
第23条 市長は、毎年、推進施策の実施状況について報告書を作成し、これを公表します。
第3章 男女共同参画審議会
(男女共同参画審議会)
第24条 男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査及び審議するため、甲賀市男女共同参画審議会(以下「審議会」といいます。)を設置します。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査及び審議します。
(1) 計画の策定及び変更に関すること。
(2) 市民、企業等及び区・自治会、自治振興会等から申出のあった意見等に係る措置に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、推進施策の基本的事項及び重要事項に関すること。
3 審議会は、この条例の規定に基づく事項のほか、男女共同参画の推進に関する重要事項について、市長に意見を述べることができます。
4 審議会は、委員15人以内で組織します。
5 委員は、男女共同参画に関し学識経験を有する者及び市民から公募した者のうちから市長が委嘱します。
6 委員の任期は、2年とします。ただし、委員が欠けた場合における後任者の任期は、前任者の残任期間とします。
7 委員は、再任されることができます。
8 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはなりません。その職を退いた後も、同様とします。
9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。
第4章 雑則
付則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(甲賀市附属機関設置条例の一部改正)
2 甲賀市附属機関設置条例(平成25年甲賀市条例第35号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略