自然は私たちの生活・文化・経済にとって、非常に価値のあるものであり、多くの恵みをもたらしてくれます。そんな自然の中で行われる体験活動は、どのような効果や変化をもたらしてくれるのでしょうか?
自然体験活動とは
いわゆる「自然体験」は、行政、学校、地域において、明確な目的を持って意図的に行われるものから、子どもたちが学校の行き帰りや普段の遊び場の中で、特に意図せず自然と触れ合うものなど、さまざまなものがあります。
そうした自然体験は、日常、非日常を問わず、自然とのふれあいを通しながら、子どもたちの成長過程に必要な能力を養うことができる大切な人格形成、成長の場です。自然の力や不思議さに出会い、失敗や成功をくりかえしながら、大切な体験を自分の心と体にきざみつけ、学んでいくのです。これは、教室や家の中で、あるいは本を読んだり、映像で見ただけでは身に付きにくいものです。
また、自然体験は普段の生活で失われがちな心のゆとりを取り戻すことや、生理・心理的プレッシャーからくるストレスの軽減に極めて有効です。人間が自然の中で生活していく中で、人間と自然の調和を見いだすことができ、それが環境への関心・興味を深めるきっかけとなっていきます。
まさに、子どもたちが成長していく過程では、自然体験活動など、自らの経験によってできる「生きる力」が大切な要素になってくるのです。
自然体験活動がもたらす効果
子どもたちが成長していく過程では、直接体験でしか得ることができないことが多くあり、自然体験、集団体験、奉仕体験、勤労体験などさまざまな体験をすることが不可欠です。
その中でも自然体験活動は、日常生活から離れて、非日常の場で、普段の生活の場では得ることができない体験ができそこから自然の厳しさ、不思議さを理解し、自然や人に対し思いやる心を養うことはもちろんのこと、自主性や社会性、協調性など子どもたちが生きていく上での大切な基礎となるさまざまな能力を育てることができる大切な体験活動のひとつです。
特に自然体験活動には次のような具体的な効果が期待できます。
●感性や知的好奇心を育む
普段の生活では接することのない自然の美しさ、雄大さ、神秘性、厳しさなどは、直接人間の五感に働きかけ、人々に感動や驚きを与え、子どもたちの感性を育み、また、知的好奇心を育てます。
●生きるための知識や力を育む
自然の中でのさまざまな活動は、知識や技術を単なる理解として身につけることではなく、実体験を通して多くのことを体で身につけることができます。
●人との接し方など社会性を育てる
さまざまな活動の中では、仲間と相談し協力する、お互いに助け合うなどの行動が求められ、このような行動を通じて自主性や協調性などの社会性が育まれます。
●自然の大切さへの理解を深める
体験を通じて学ぶことや、動植物などをはじめとした自然に関する知識は、自然の大切さを理解することに併せて、日常生活における環境保全や自然愛護への積極的な態度を養い、身近なところからの環境問題についての認識を高めます。