甲賀市土山町北土山に所在する土山家住宅(土山宿本陣跡)主屋(おもや)、離れ(玉座(ぎょくざ))、土蔵、米蔵の4棟が、令和4年11月18日開催の国の文化審議会の答申を受けて、国の登録有形文化財(建造物)に登録されるはこびとなりました。これにより、市内の登録有形文化財は22件となります。
土山家は、江戸時代前期以来幕末まで東海道土山宿の本陣を務めた旧家で、寛永11年(1634)の徳川家光上洛の際に本陣職を拝命しています。また同家には、本陣の休泊記録である「宿帳」(市指定文化財)をはじめとする多数の古文書や調度品等が伝えられています。本陣職が廃止された明治3年(1870)以降は、土山の特産であった茶を家業の柱とし、時代に合わせて柔軟な姿勢を持ちながら、現在の第14代当主まで、代々受け継がれてきました。
特に、明治天皇東幸の際、休泊所となった離れ(玉座)は、歴代の土山家当主が重要視し、当時の雰囲気をできるだけ残すよう努力が続けられ今に至った建物です。内部については、従来から公開(予約制)が実施されており、伝来の古文書や調度品の展示も行われるなど、土山宿の歴史文化を知る大切な場所となっています。
また、昭和35年(1960)に竣工した主屋は、地域の希望と当主の思いから、極力本陣当時の趣が残されており、土山宿のシンボル的存在として、地域にとって重要な建物であったことがうかがえます。
なお、今回の登録に際しては、滋賀県ヘリテージマネージャー(歴史的建造物保存活用推進員)の協力が得られたこともあり、円滑に登録の調査を進めることができました。
今後も、所有者、地域、専門家とともに東海道土山宿の魅力発信を行ってまいります。