○甲賀市手話言語及び情報・コミュニケーション促進条例
令和3年7月5日
条例第11号
手話は、音声言語と異なり、手及び指、体等の動き並びに顔の表情を使って視覚的に表現する言語です。これまで、ろう者等は、物事を考え、意思疎通を図り、お互いの気持ちを理解し合うために、手話言語を大切に育んできた歴史があります。
また、人と人との結びつき及び絆を大切にする上で、全ての障がい者が可能な限り、手話を含む多様なコミュニケーション手段を用いて、お互いの気持ちを理解し合う機会を確保することは、共生社会に課せられた責務です。
私たちは、手話が言語であることを理解し、また障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の選択及び情報取得又は利用の手段の選択の機会が保障され、障がいの有無にかかわらず、市民一人ひとりの人権が尊重され、人格と個性を尊重し合いながら共に生きる社会を実現するためこの条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、手話言語の普及及び情報・コミュニケーションの促進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、手話が言語であることを理解し、障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用を促進し、もって障がいの有無によって分け隔てられることなく、障がいのある人もない人も互いに認め合い、共に生きる社会を実現することを目的とします。
(1) 障がい者 身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい、難病その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に制限を受ける状態にあるものをいいます。
(2) 社会的障壁 障がい者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となる社会における事物、制度、慣行、概念その他一切のものをいいます。
(3) 障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段 手話(触手話及び弱視手話を含む。)、要約筆記、筆談、字幕、点字、指点字、音訳、拡大文字、代読、代筆、平易な表現、絵図、記号、身振り、手振り、豊かな表情、口話、透明文字盤その他障がい特性に応じて利用される、人々が互いに情報を伝達し、意思を疎通し、並びに気持ち及び心を通わせて理解し合う伝達手段をいいます。
(4) 合理的配慮 市、市民及び事業者が、個々の場面において、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明があった場合に、過度な負担にならない範囲で、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう行う必要かつ適切な現状の変更又は調整をいいます。
(5) 事業者 市内で事業を営む個人、法人及び団体をいいます。
(基本理念)
第3条 第1条に規定する共生社会を実現するため、次に掲げる事項を基本理念とします。
(1) 手話が言語であることの理解の促進及び障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用の促進は、全ての市民がお互いに理解し、人格及び個性を尊重することを基本として行うこと。
(2) 個人の障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段を確保するため、市、市民及び事業者が責務及び役割を認識し、連携して取り組むこと。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話が言語であることの理解の促進及び障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用の促進の施策を推進するものとします。
2 市は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段を利用できるようにするための合理的配慮を行うものとします。
3 市は、緊急時及び災害発生時においても、障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段が利用される共生社会の実現に向けた取組を行うものとします。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段を利用できるようにするための合理的配慮を行うよう努めるものとします。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、市の施策に協力するよう努めるものとします。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段を利用できるようにするための合理的配慮を行うよう努めるものとします。
(市の施策)
第7条 市は、基本理念に基づき、市民及び事業者と連携して、次に掲げる施策を推進するものとします。
(1) 手話が言語であることの理解の促進及び障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段の普及に関する施策
(2) 障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段を利用しやすい環境づくりに関する施策
(3) 障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段を支援する者の確保及び養成に関する施策
(4) 障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段での情報発信及び情報提供に関する施策
(5) 学校教育における障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段の理解及び普及啓発を図るための施策
(6) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策
2 市は、前項の施策を推進するに当たり、その進捗状況の把握に努め、必要に応じて施策の見直しを行います。
(委任)
第8条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定めます。
付則
この条例は、令和3年10月1日から施行します。