○甲賀市成年後見制度利用支援事業実施要綱
平成26年4月1日
告示第30号
(目的)
第1条 この告示は、判断能力が不十分で日常生活を営むのに支障のある高齢者、知的障害者及び精神障害者(以下「要支援者」という。)に係る成年後見制度の利用に対する支援について、必要な事項を定めるとともに、成年後見制度の利用に係る費用負担が困難な者に対し、その費用の一部を助成することで要支援者の擁護を図ることを目的とする。
(支援の種類)
第2条 要支援者に対する支援の種類は、次に掲げるとおりとする。
(1) 市長による老人福祉法(昭和38年法律第133号)第32条、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第28条及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第51条の11の2の規定に基づく審判の請求並びに家事事件手続法(平成23年法律第52号)第126条第1項、第134条第1項及び第143条第1項の規定による審判前の保全処分(以下「市長申立て」という。)
(2) 市長申立てに要する費用の負担
(3) 市長申立てにより選任された成年後見人、保佐人又は補助人(以下「成年後見人等」という。)に対する報酬の助成
(4) 要支援者の親族又は要支援者本人が成年後見人等の審判申立てを行う場合の申立て費用等(別表第1内訳の欄に掲げるものをいう。以下同じ。)に係る助成金の交付
(1) 生活保護法(昭和25年法律第144号)の規定による生活保護を受けている者
(2) 世帯(別世帯で同居している者を含む。)が市民税非課税世帯の者であって、別表第2の基準を満たす者
(1) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第19条第3項又は介護保険法(平成9年法律第123号)第13条の規定による住所地特例を受けた場合
(2) 老人福祉法第11条による措置を受けた場合
3 第1項の規定にかかわらず、3親等以内の親族が成年後見人等に選任された場合は、成年後見人等の報酬に係る助成は行わない。ただし、市長がやむを得ない事情があると認める場合は、この限りでない。
(市長申立ての対象等)
第4条 市長申立ての対象となる要支援者は、市内に現に居住し、住民基本台帳法の規定に基づき登録されている要支援者であり、かつ、次に掲げる事由により市長が当該請求を行う必要があると認めた者とする。
(1) 要支援者に配偶者及び2親等内の親族(以下「親族等」という。)がいない場合
(2) 要支援者に親族等がいる場合であっても音信不通の状態である、又は当該親族等に審判の請求の意思がない場合
(3) 要支援者に親族等がいる場合であっても、虐待その他の事由により要支援者の保護を図る必要があると判断した場合
(4) 生活保護法第6条第1項に規定する被保護者又は審判の申立てを行う費用を負担することにより同条第2項に規定する要保護者となる者
(5) 前各号に掲げる者のほか市長が必要と認める者
(1) 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第19条第3項又は介護保険法第13条の規定による住所地特例を受けた場合
(2) 老人福祉法第11条による措置を受けた場合
(3) 生活保護法第19条の規定により、本市が保護を決定し、実施している場合
3 市長は、市長申立てを行う場合にあっては、次に掲げる事項を総合的に判断して行うものとする。
(1) 当該要支援者の事理を弁識する能力
(2) 当該要支援者の生活状況及び健康状況
(3) 当該要支援者の親族等の存否、当該親族による本人保護の可能性及び当該親族等が審判の請求を行う意思の有無
(4) 当該要支援者に対する他の施策の活用による効果
(市長申立てによる審判の種類)
第5条 市長申立てに係る審判の種類は、次に掲げるとおりとする。
(1) 後見開始の審判(民法(明治29年法律第89号)第7条)
(2) 保佐開始の審判(民法第11条)
(3) 保佐人の同意権の範囲を拡張する審判(民法第13条第2項)
(4) 保佐人に代理権を付与する審判(民法第876条の4第1項)
(5) 補助開始の審判(民法第15条第1項)
(6) 補助人に同意権を付与する審判(民法第17条第1項)
(7) 補助人に代理権を付与する審判(民法第876条の9第1項)
2 市長は、要支援者の状況を考慮し、緊急を要する場合において必要と認めるときは、家事事件手続法第126条第1項、第134条第1項及び第143条第1項の規定による審判前の保全処分の申立てを行うものとする。
(市長申立ての手続)
第6条 審判請求に係る申立書、添付書類及び予納すべき費用その他の手続は、家庭裁判所の定めるところによる。
(市長申立てに係る費用負担)
第7条 市長は、家事事件手続法第28条第1項の規定により、市長申立てに係る費用を予算の範囲内において負担するものとする。
2 前項の費用負担の金額は、家庭裁判所が決める金額の範囲内とする。
(市長申立てに係る費用の求償)
第8条 市長は、前条に係る費用について、要支援者又は親族等が負担すべきであると判断したときは、市が負担した当該費用の求償権を得るため、家事事件手続法第28条第2項の規定に基づく手続費用の負担命令に関する申立てを市長申立てと併せ、家庭裁判所に対し、文書により行うものとする。
2 市長は、前項の場合において求償権が得られた場合は、文書により家庭裁判所が決定した者に対して当該費用を請求するものとする。
(1) 現に生活保護法に定める被保護者である者
(2) 審判請求に要する費用を対象者が負担することで、生活保護法に定める要保護者となる者
(3) その他審判の請求に要する費用の助成を受けなければ、成年後見制度の利用が困難な状態にあると市長が認める者
(親族等への情報提供)
第9条 第4条第1項第2号において、市長が親族等に対して当該親族等による審判請求を行う意思の有無を確認する場合には、要支援者の状況等の情報を必要な範囲内で当該親族等に提供することができる。
2 前項において情報の提供を行う場合には、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報の保護に最大限の配慮をしなければならない。
(成年後見制度利用審査会)
第10条 市長申立ての適否及び成年後見制度利用のための助成申請を審査するため、成年後見制度利用審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会の委員は、次に掲げるとおりとする。
(1) 健康福祉部長
(2) 健康福祉部次長(高齢者・障がい者・健康づくり担当)
(3) 健康福祉部次長(福祉政策・地域共生社会推進担当)
(4) 地域共生社会推進課長
(5) 生活支援課長
(6) 障がい福祉課長
(7) 長寿福祉課長
(8) 家庭児童相談室長
(9) すこやか支援課長
3 審査会の会長は、健康福祉部長をもって充てる。
4 会長は、会務を掌理し、審査会を代表する。
5 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、健康福祉部次長(福祉政策・地域共生社会推進担当)がその職務を行う。
(審査会の会議)
第11条 審査会の会議(以下「会議」という。)は、審査の対象となる要支援者の審判の請求を担当する所属(以下「担当課」という。)の長の要請により、会長が招集する。
2 会議は、委員の3分の2以上の委員が出席しなければ開くことができない。ただし、委員が出席できないことにつき会長がやむを得ない理由があると認めたときは、当該委員があらかじめ指名する者の出席をもって会議を開くことができる。
3 審査会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは会長の決するところによる。
4 会長が必要と認めたときは、委員以外の者を会議に出席させ、説明又は意見を聴くことができる。
5 審査に当たっては、対象者及びその家族並びに主治医その他の専門家の意見を聴くことができる。
6 緊急に市長による審判の請求を行う必要がある場合は、担当課の長は、市長申立てを行った後、速やかに審査会に報告し、その承認を得なければならない。
7 担当課の長は、前項の規定により審査会に報告し、その承認を得られなかった場合は、市長申立てを取り下げなければならない。
8 審査会の庶務は、健康福祉部地域共生社会推進課において処理する。
(助成金の申請)
第12条 助成金の交付を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、後見開始等の審判申立費用助成申請書(様式第1号)に次に掲げる書類を添付して市長に申請しなければならない。この場合において、本人の配偶者、4親等以内の親族、弁護士その他の代理人又は成年後見人等は代理して申請を行うことができる。
(1) 申立書及び申立書に添付する書類の写し
(2) 第3条第1項第1号の場合にあっては、受給者であることを証するもの
(4) 弁護士その他の代理人又は成年後見人等が申請する場合にあっては、代理人又は成年後見人等であることを証するもの(成年後見人等が申請する場合にあっては、登記事項証明書の写し)
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認めるもの
(1) 後見事務報告書の写し
(2) 公的年金等の源泉徴収票の写し等収入の分かるもの
(3) 金銭出納簿及び領収書の写し等必要経費の分かるもの
(4) 財産目録等の写し等資産状況の分かるもの
(5) 報酬付与審判書謄本の写し
(6) 成年後見人等が申請する場合にあっては、登記事項証明書の写し
(7) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認めるもの
3 前項に規定する申請書の提出期限は、報酬付与の審判のあった日の翌日から起算して1年以内とする。
2 市長は、前項の規定による請求を受けたときは、速やかに助成金を助成決定者名義の口座に口座振替の方法により支払うものとする。ただし、やむを得ない事情があると市長が認める場合は、この限りでない。
(実績報告)
第15条 審判申立費用に係る助成決定者は、後見開始等の審判終了後、速やかに後見開始等の審判申立費用助成実績報告書(様式第6号)に、次に掲げる書類を添えて市長へ報告しなければならない。
(1) 後見開始等の審判に要した収入印紙代、郵便切手代、診断書発行料、鑑定費用の領収書等の費用支払額を証明するもの
(2) 審判書及び登記嘱託完了通知の写し
2 成年後見人等報酬に係る助成は、第12条第2項に規定する申請書の内容をもって実績を報告されたものとみなす。
(額の確定等)
第16条 市長は、前条第1項の規定による審判申立費用に係る報告書を受理したときは、その内容を審査し、決定の内容及びこれに付した条件等に適合すると認めるときは、交付すべき助成金の額を確定し、助成決定者に通知するものとする。
2 市長は、前項の助成金の額を確定した場合において、既にその額を超える助成金が交付されている場合は助成決定者に対し期限を定めてその超過額を返還させ、既に交付された額が確定された額に満たない場合は助成対象者からの請求をもってその不足額を交付するものとする。
3 成年後見人等報酬に係る助成金は、第13条に規定する交付決定をもって額を確定したものとみなす。
(変更の届出等)
第17条 助成決定者は、次に掲げる事項に該当するときは、成年後見制度利用支援事業助成金交付変更届出書(様式第7号)により、その旨を市長に届け出なければならない。
(1) 成年被後見人等の資産状況に変更があったとき。
(2) 成年被後見人等の氏名又は住所に変更があったとき。
(3) 成年被後見人等が施設に入所し、又は施設から退所したとき。
(4) 成年後見人等に辞任、解任等の異動があったとき。
(5) 成年後見人等の氏名又は住所に変更があったとき。
(6) 成年後見人等に対する報酬の額についての審判があったとき。
(助成の取消及び助成金の返還)
第19条 市長は、助成金の支給を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、助成の決定を取り消し、又は既に交付した助成金の全部若しくは一部を返還させることができる。
(1) 偽りその他不正な手段により助成の決定を受けたとき。
(2) 助成金を目的外に使用したと認められるとき。
(その他)
第20条 この告示に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
付則
この告示は、平成26年4月1日から施行する。
付則(平成26年告示第45号)
この告示は、平成26年7月1日から施行する。
付則(平成27年告示第29号)
この告示は、平成27年4月1日から施行する。
付則(平成29年告示第43号)
この告示は、平成29年4月1日から施行する。
付則(平成31年告示第16号)
この告示は、平成31年4月1日から施行する。
付則(令和3年告示第90号)
この告示は、告示の日から施行する。
付則(令和4年告示第62号)
この告示は、令和4年4月1日から施行する。
付則(令和5年告示第76号)
この告示は、令和5年4月1日から施行する。
付則(令和6年告示第82号)
この告示は、令和6年4月1日から施行する。
別表第1(第2条関係)
内訳 | 補助限度額上限 | 補助率 |
(1)申立て費用(収入印紙、切手代等) | 20,000円 | 10/10 |
(2)鑑定費用(診断書の作成等) | 100,000円 | 10/10 |
(3)月の初日に在宅で生活している者に係る後見等の開始後に必要な成年後見人等の報酬 | 28,000円/月 | 10/10 |
(4)月の初日に施設等に入所している者に係る後見等の開始後に必要な成年後見人等の報酬 | 18,000円/月 | 10/10 |
備考
1 「施設等」とは、生活保護法にいう保護施設、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律にいう障害者支援施設、老人福祉法にいう老人福祉施設、介護保険法にいう介護保険施設その他これらの類似施設で市長が認める施設をいう。
別表第2(第3条関係)
世帯の人数 | 世帯の収入見込額(年額) | 世帯の資産(現金、預貯金、有価証券等) | その他 |
単身世帯 | 150万円以下 | 100万円以下 | 日常生活に必要な資産以外に活用できる資産がないこと(自動車、土地等) |
2人世帯 | 200万円以下 | 150万円以下 | |
3人世帯 | 250万円以下 | 200万円以下 | |
4人以上世帯 | 250万円に、4人目以降の世帯員の数に50万円を乗じた額を加えた額以下 | 200万円に、4人目以降の世帯員の数に50万円を乗じた額を加えた額以下 |
備考
1 世帯の人数の項目に応じて、収入見込額(年額)、世帯の資産(現金、預貯金、有価証券等)及びその他の基準にそれぞれ該当しなければならない。
2 収入見込額は、当該年の1月から12月までの収入見込額とする。