○甲賀市法令遵守の推進条例
平成18年12月22日
条例第47号
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 公益通報(第6条―第9条)
第3章 不当要求行為(第10条―第12条)
第4章 甲賀市コンプライアンス審査会(第13条―第15条)
第5章 補則(第16条―第18条)
付則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民と行政による協働のまちづくりに資するため、職員の倫理の保持及び法令遵守の推進体制の整備を図ることにより、市の行政運営における適正を確保するとともに、市民の利益を保護し、もって市民に信頼される市政を確立することを目的とする。
(1) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第3条第2項に規定する一般職及び同条第3項に規定する特別職の職員で市に勤務する者をいう。
(2) 職員等 前号に規定する職員、市に対し公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第2条第1項に規定する労務を提供する者及び地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定により市が指定した者が行う市の施設の管理業務に従事する者をいう。
(3) 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例、規則及び規程をいう。
(4) 任命権者 法第6条第1項に規定する任命権者をいう。
(5) 公益通報 職員等の職務に係る倫理に反する行為及び市政運営上の法令違反行為並びに環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認められる事実(以下「違法行為等」という。)が生じ、又はまさに生じようとしていると思料することについて通報することをいう。ただし、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的で行うものを除く。
(6) 公益通報者 公益通報をした職員等をいう。
(7) 不当要求行為 職員以外の者が職員等に対し、違法行為の要求その他職員の公正な職務の遂行を妨げる行為又は暴力行為その他社会常識を逸脱した手段により要求の実現を求める行為をいう。
(倫理原則等)
第3条 職員は、全体の奉仕者であることを深く自覚し、正当な理由なく一部に対してのみ有利又は不利な取扱いをする等不当な差別的扱いをしてはならず、常に公共の利益を目指して公正な態度で職務を遂行しなければならない。
2 職員は、自らの行動が市全体の信用に影響を及ぼすことを常に認識し、公私の別を明らかにするとともに、その職務や地位を私的な利益のために用いてはならない。
3 職員は、職務の遂行に当たっては、市政が市民の信託によるものであることを認識し、法令を遵守し、不当要求行為に対しては毅然として対応することにより、市政に対する理解と協力を得られるよう努めなければならない。
4 管理又は監督の地位にある職員は、その職務に係る倫理の保持及び法令遵守について自らの責務を深く自覚するとともに、所属の職員に対して常に適切な指導を行わなければならない。
5 職員は、上司からの職務上の命令及び指示等が、明らかに法令違反行為が生じていると判断したときは、命令及び指示等を撤回させるために次章に定める公益通報の例等により適切な対応をしなければならない。
(市長等の責務)
第4条 市長及び任命権者(以下「市長等」という。)は、市民の信託に応え、法令の遵守を推進し、不当要求行為及び適正な市政運営を妨げる行為に対しては組織的に対応をしなければならない。
2 市長等は、倫理の保持及び法令遵守の推進が図られるよう職員に対する研修を実施するとともに、適切な対応ができる組織的体制の整備、公益通報者の保護その他必要な措置を講じなければならない。
(市民等の責務)
第5条 市民は、信託した市政が常に公正かつ適正な手続きにより運営されるものであることを理解し、法令遵守による行政運営の確保に積極的に協力しなければならない。
2 何人も不当要求行為をしてはならない。
第2章 公益通報
(公益通報)
第6条 職員等は、公益通報をすることができる。
2 職員等は、公益通報をする場合は、実名により誠実に行わなければならない。ただし、匿名による通報事実が確実にあると信ずるに足りる相当の根拠を第13条に規定する甲賀市コンプライアンス審査会(以下「審査会」という。)に示した場合は、この限りでない。
3 職員等は、この制度を濫用してはならない。
(公益通報者の保護)
第7条 市長等は、公益通報者に対して公益通報をしたことを理由として、いかなる不利益な取扱いをしてはならない。
2 公益通報者は、公益通報をしたことによって不利益な取扱いを受けたと思料するときには、審査会にその是正の申立てをすることができる。
3 市長は、職員以外の者が公益通報をしたことを理由として、その労務の提供先の事業者から不利益な取扱いを受けたと認められるときは、当該不利益な取扱いについて是正を求めることができる。
4 市長等は、公益通報者を保護するため、公益通報者が特定されるおそれがある情報を公開してはならない。
(公益通報に係る審査会の職務)
第8条 審査会は、審査会の委員に公益通報の受理及びその調査を行わせることができる。
2 審査会の委員が、公益通報を受けたときは、審査会に通知するとともに当該公益通報の内容について速やかに調査を行い、その調査に基づき審査を行うものとする。
3 審査会は、審査の結果、当該公益通報どおりの事実があると認めるときは、是正措置等についての意見を付し、又は該当する事実がないと認めるとき若しくは調査を尽くしても当該事実の存否が明らかにならないときはその旨を、市長等に報告するものとする。
4 審査会は、審査の結果を公益通報者に通知しなければならない。ただし、匿名の公益通報者又は報告を希望しない公益通報者に対しては、この限りでない。
2 市長等は、前項に規定する場合のほか、公益通報者が公益通報をしたことにより不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めたときは、遅滞なく改善又は防止のために必要な措置を講じるものとする。
3 市長は、前2項の措置についてその概要を公表するものとする。
第3章 不当要求行為
(不当要求行為への組織的対応)
第10条 職員は、不当要求行為があったときは、直属の上司に報告する。
2 前項の報告を受けた上司は、不当要求行為に対し組織的に対応し、市長等は、当該記録を審査会に提出しなければならない。ただし、明らかに不当要求行為に該当しないと判断したものについては、審査会に提出しないことができる。
(不当要求行為に係る審査会の職務)
第11条 審査会は、前条の規定により提出された記録について、速やかに必要な調査を行い、不当要求行為に該当するかどうかを審査しなければならない。
2 審査会は、前項の規定による審査の結果、不当要求行為に該当すると認めるときは是正措置等についての意見を付し、又は該当しないと認めるときはその旨を、市長等に報告するものとする。
(不当要求行為に対する措置)
第12条 市長等は、前条第2項の規定により不当要求行為に該当するものがあるとの報告を受けたときは、速やかに報告に基づいて必要な事実確認を行い、当該不当要求行為を行った者に対し警告する等必要な措置をとるものとする。この場合において、市長は、必要があると認めるときは、当該不当要求行為を行った者の氏名、警告の内容その他の事項について公表することができる。
第4章 甲賀市コンプライアンス審査会
(審査会)
第13条 倫理の保持及び法令遵守に関する調査及び審査を行うため、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき、審査会を設置する。
2 審査会は、委員5人以内で組織する。
3 委員は、法令に関し専門的知識を有する者及び学識経験を有する者のうちから市長が委嘱する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、再任されることができる。
6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
7 市長は、委員に職務上の義務違反その他委員としてふさわしくない行為があると認めるときは、解嘱することができる。
(審査会の職務)
第14条 審査会は、次の各号に掲げる職務を所掌する。
(1) 第8条に規定する公益通報の受理、調査及び審査に関する事項
(2) 第11条に規定する不当要求行為の調査及び審査に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、倫理の保持及び法令遵守に関する事項
3 審査会の会議は、非公開とする。ただし、審査会が必要と認める場合には、公開することができる。
(規則への委任)
第15条 この章に定めるもののほか、審査会の組織、運営その他必要な事項は、規則で定める。
第5章 補則
(職員等の協力)
第16条 職員等は、公益通報及び不当要求行為の調査及び審査のため審査会から求められたときには、協力をしなければならない。
2 前項の規定により調査に協力をした職員等は、その際に知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(運用状況の公表)
第17条 市長は、毎年、公益通報及び不当要求行為の件数並びにそれらの概要等運用状況について、公表するものとする。
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
付則(平成25年条例第36号)
この条例は、平成26年4月1日から施行する。