○甲賀市における出土品の取扱基準

平成16年10月1日

告示第153号

1 目的

甲賀市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、「出土品の取り扱いに関する指針」(平成9年8月13日文化庁長官裁定)及び「出土品の取り扱いについて」(平成9年8月13日付け庁保記第182号文化庁次長通知)を踏まえ、甲賀市による出土品の取扱いに関し、教育委員会が主体となって行う措置に対してこの基準を定める。

ここで定める基準は、今後の発掘調査により出土する出土品のほか、既に収蔵されている出土品にも適用する。

2 用語の定義

本基準で用いる用語は、次のとおりとする。

(1) 出土品 「出土品の取扱いについて(報告)(埋蔵文化財発掘調査体制等の整備充実に関する調査研究委員会平成9年2月。以下「報告」という。)に示されたもの

(2) 文化財 出土品のうち、その保存、活用の為に必要な措置を講じなければならないもので、文化財認定を受けているもの

(3) 区分 出土品を文化財とそれ以外のものに分別すること、及び文化財をその活用の可能性により分別すること。区分は、調査主体の指導のもとに、調査実施機関が行う。

(4) 整理調査 発掘調査によって得られた情報を活用に供するため、出土品及び遺構の情報をまとめ、これらを収納する作業。一般的には、情報を還元するための発掘調査報告書等の作成を前提として行う。

3 区分

(1) 区分の視点

出土品の区分は、その活用を前提とし、遺跡の所在する地域の特性に配慮し、以下に示す視点を考慮しつつ行うものとする。

また、保護の対象とする出土品は、当分の間、「滋賀県遺跡地図」に記載された埋蔵文化財包蔵地から出土したもののみとする。

また、個々の適用については、別紙「区分の運用指針」による。

ア 出土品の種類による区分

報告に示された分類例に基づき、人間又は人間の活動あるいは遺跡を取り巻く環境との関係を考慮して区分する。

イ 出土状況による区分

遺構との関係を考慮して区分を行う。

ウ 規格性の有無による区分

規格性のある出土品については、出土量等の要素を考慮して区分する。

エ 残存度・遺存状況による区分

出土品の残存度を考慮して区分する。

オ 収蔵の可能性による区分

法量等により収蔵の困難な出土品は、その文化財的な価値と活用の可能性を勘案して区分する。

(2) 区分の時期

区分は、ア 現地調査の段階、イ 整理調査の段階、ウ 収蔵の段階で行うものとする。

ア 現地調査の段階での区分方法

3―(1)の視点に照らし、整理調査の対象とする出土品と、それ以外の出土品に区分する。より効率的な区分を行うためには、現地調査期間中又は現地調査終了直後に暫定整理期間を設定し、実施することが望ましい。

イ 整理調査の段階での区分

3―(1)の視点に照らし、個々の出土品の情報量及び出土品の活用の可能性により区分する。

出土品についての情報公開の手段としては、発掘調査報告書等の作成が現状では最も望ましい。

この段階での区分により、以下に示す出土品の収蔵の様態を決定する。

① 区分A

情報を公開した出土品のうち、特に資料的な価値の高いもの及び活用の機会が多いと判断されるもの

【収蔵方法】

展示機能を備えた収蔵施設に展示収蔵し、又は個々の遺物の検索が容易な方法で収蔵する。

② 区分B

情報を公開した出土品のうち、活用の機会が比較的少ないと判断されるもの又は前記Aと同等の価値を持つが、整理調査の進行上、情報の公開ができなかったもの

【収蔵方法】

個々の遺物の検索が可能な方法で収蔵する。

③ 区分C

情報の公開を行わなかった出土品のうち、活用の機会が少ないと判断されるもの

【収蔵方法】

出土した遺跡、遺構が検索できる状態で収蔵する。

④ 区分D

文化財としての活用が困難な出土品

【収蔵方法】

出土した遺跡が検索できる状態で収蔵する。収蔵施設については建物であることを要しない。

⑤ 区分E

金属製品等、温度や湿度管理の必要な出土品及び保存処理を施した出土品等の特殊な出土品

【収蔵方法】

個々の出土品が検索できるように収蔵する。収蔵施設としては、温度、湿度管理の可能な施設であることが望ましい。

⑥ 区分F

将来、科学的分析の実施が必要となる出土品

【収蔵方法】

出土した遺跡、遺構、層位が検索できる状態で収蔵する。

⑦ 区分G

科学的分析の終了した出土品のうち、保存を要しないもの

【収蔵方法】

廃棄する。

ウ 収蔵の段階での区分

この基準の運用前に収蔵された出土品についても、区分の視点に照らし、収蔵する。

4 出土品の活用

(1) 出土品の活用については、従来の文化財の活用に加え、従来の方法にとらわれない方法について検討し、実施するものとする。

(2) 出土品の新たな活用法については、実施前に教育委員会と協議した上で実施するものとする。

(3) 活用のため出土品が移動し、又は滅失する場合は、その状況を記録し、保存するものとする。

5 その他

この基準は、社会状況の変化、学問水準の変化に応じ、必要により見直すことができる。

付 則

この基準は、平成16年10月1日から適用する。

別紙

甲賀市における出土品の取扱い基準に基づく区分の運用指針

3―(1) 区分の視点

ア 出土品の種類による区分

人骨、糞石等人間そのものあるいは、人間の活動を明確に示す出土品は、全量を整理調査の対象とする。

加工痕のある木材等は、加工の程度、出土状況、出土量などを考慮して、整理調査の対象とする量を決める。

食物残滓等は、出土量を考慮し、サンプル採取により整理調査の対象を絞り込むことが望ましい。

鉄滓、貝塚の貝等大量に出土する同種類の出土品については、統計上必要とされる一定量を採取し、整理調査の対象とする。

遺構を構成する礫群等については、時代性、分量を勘案し、一定量を採取し、整理調査の対象とすることが望ましい。

イ 出土状況による区分

遺構に伴わない出土品については、出土状況、出土量を考慮し、その取り扱いを決める。

祭祀遺構等明確な遺構を伴わないものについては、遺跡の性格を考慮して取り扱いを決める。

ウ 規格性の有無による区分

規格性のある出土品については、出土量等を考慮してその取扱いを決める。

エ 残存度・遺存状況による区分

現状での出土品の状態に応じ、活用の可能性を考慮して取扱いを決める。

大量に出土した磨滅した土器の細片など、得られる情報の少ない出土品については、それに応じた区分と収蔵を検討する。

オ 収蔵の可能性による区分

古墳の石室材、石棺、石郭等の移動困難なものは、その活用の可能性と収蔵の可能性を考慮して取り扱いを判断する。

3―(2) 区分の時期

ア 現地調査の段階での区分

この段階での区分は、整理調査の対象とする出土品(文化財認定を受ける出土品)と、現地で処分する出土品を区分することを目的とする。

区分を行うために充てる時間は、暫定整理期間を設定することが望ましいが、困難な場合は、降雨などによる現場作業休止日等を効率的に利用し、これに充てるよう努める必要がある。

【区分】

① 土器・瓦・木製品等の一般的な出土品については、3―(1)の区分の視点に照らし、整理調査の対象とするものと、処分するものとに区分する。

② 鉄滓、貝塚の貝、食物残滓、各種科学分析資料等については、この段階で、整理調査あるいは、科学分析の対象とする一定量を抽出する。整理調査及び科学分析の対象としなかったものは処分する。

③ 処分は原則として、発掘調査現場内で行うものとする。

④ やむをえず、現地調査の段階で区分ができなかった場合は、整理調査着手の前段階において、整理調査の対象とするもの(文化財認定するもの)とそれ以外のものとに区分する。なお、整理調査の対象としなかった出土品は、別途処分する。

イ 整理調査の段階での区分

この段階の区分は、文化財認定を受けた出土品を対象とし、出土品の持つ情報を3―(1)の区分の視点に照らし判断して行う。

現状において、区分は、発掘調査報告書等の作成を前提とし、これへの記載状況の差異を出土品の持つ情報の差異として扱うことが適切である。

区分の結果は、収納の様態に反映される必要がある。

収納の様態①~⑦は、活用を前提として設定したものであり、各教育委員会は、出土品を各様態に区分・収納の上適切な活用を図らなければならない。

4 出土品の管理

出土品の積極的な活用のためには、その適正な管理が必要となることは言うまでもない。今後、基準に基づき出土品を収蔵、管理することとなるわけであるから、基準に照らした管理を行う必要がある。

基準に基づく報告は、埋蔵文化財の保管証の提出とは別に、整理調査終了後に行うものとする。

5 出土品の活用

国民への負担により行った調査等による出土品は、国民共通の財産であることから、各機関は、これを公共のために大切に保存するとともに、これを公開する等、その活用に努めなければならない。

今後、出土品の活用法については、教育委員会が検討し、その実施に努める必要がある。

甲賀市における出土品の取扱基準

平成16年10月1日 告示第153号

(平成16年10月1日施行)

体系情報
第12編 育/第6章 文化財
沿革情報
平成16年10月1日 告示第153号